第3章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
貴「っ!!……何かがこっちへ来る……!?」
はるか上空から、何かがこちらへ接近してくるのを感じた。当たって欲しくない憂太と私の勘が当たってしまった。
真「めずらしいな。」
パ「憂太の勘が当たった。」
乙「……?」
それは大きな嘴を持った、巨大な鳥の呪い。その足に乗っていた人物が地面に降りた。
真「関係者……じゃねぇよな。」
パ「見ない呪いだしな。」
狗「すじこ。」
乙「わーでっかい鳥。」
四人は誰なのか分かっていないけれど、私はこの人を知っている……。こちらへ引っ越した時、姉さんと硝子さんと五条先生と一緒に、よく遊んでくれて面倒見てくれた。
《呪術は弱者(非術師)を守る為にある》
私が何故死亡率も高い万年人不足な呪術師をやっているのか……。それは、過去にこの人が教えてくれた上記の思想が、今でも私の中で強く生き継いでいるからだ。私達人間の負の感情から生まれたとはいえ、罪もない人達がその〝呪い〟によって殺されるという事はあってはならない事だと思っている。だから私はこの言葉が好きだった。こんな弱い私でも、誰かを守れるのだと、役に立てるのだと証明ができる唯一のものだから。
だけどこれを教えてくれた人は、ある事件を境にいなくなってしまった。なのに今更……どうして
貴「なんで……今更
乙「憐ちゃん……?大丈夫……?」
貴「乙骨君……何でもないよ。」
乙「何でもないって顔してないよ。……凄く辛そうな顔してる。それに手のひら……握りすぎだよ……跡ついちゃうよ。」
貴「っ!?……。」
憂太を心配させるような顔をしてたのだろうか。自分ではよく分からない。それに手に力を入れすぎたようだ……憂太の言う通り、爪の跡がついてしまっている。
夏「変わらないね
菜「うぇ〜夏油様ァ!本当にココ東京ォ??……田舎くさァ。」
美「菜々子……失礼……。」
菜「え〜〜!美々子だってそう思うでしょ?」
ラ「んもう!!さっさと降りなさい!!」
夏油さんだけじゃない……鳥の嘴の中から制服を着た女子高校生が二人と、上半身裸の男が降りてきた。恐らく夏油さんの今の仲間なのだろう……この寒い冬に、上半身裸出てくる人がいるなんて正直信じられない。
美「アイツら…何…?」
菜「あー!パンダだ〜かわいい〜!」カシャカシャ
しかも女子高校生の一人は、こちらを見るなり、騒ぎ写真を撮るしまつ……パンダくん、手を振らなくていいから。
パ「オマエらこそ、何者だ。侵入者は憂太さんが許さんぞ。」
狗「こんぶ!!」
乙「えっ!!?」
真「憂太さんに、殴られる前にさっさと帰んな!!」
乙「えぇ!!?」
貴「……はぁ〜。」
それを見ていた真希、狗巻くん、パンダくんの三人は悪ノリし始める。三人のノリが羨ましい……私はそんな雰囲気にはなれない。思わずため息を付いてしまった。
夏「はじめまして、乙骨君。私は夏油傑。」
乙「えっ……あっはじめまして。」
貴/狗/パ/真((((速いッ……!!!))))
知らぬ間に夏油さんは、憂太の手を掴んで挨拶していた。その瞬間、私達四人の心は一つになった。決して目を離していた訳では無いのに、いつの間にか憂太の目の前まで接近するなんて……。さすが特級……呪詛師になったとはいえその階級は伊達では無い。
夏「君はとても素晴らしい力を持っているね。私はね、大いなる力は大いなる目的のために、使うべきだと考える。」
夏「今の世界に疑問はないかい?一般社会の秩序を守るため、呪術師が暗躍する世界さ。」
乙「??」
ベラベラ憂太に話しているが、憂太はあまり分かっていないようだ。
夏「だからね……君にも手伝ってほしいわけ。」
乙「……?何をですか?」
夏「非術師を皆殺しにして、呪術師だけの世界を作るんだ。」
乙「……!?」
真/パ/狗(何……言ってんだ……?)
貴「……もう止めて!!夏油さんっ!!」
私は耐えられなくて、つい叫んでしまった。あんなに非術師を守ろうと呪術を使っていた夏油さんが、昔と真逆な事を言っている。どうしてこんな酷い考えを持つようになってしまったのか……。私は、もうこれ以上あんな姿の夏油さんを見たくなかった。
夏「……。」
今……こっちを見たような……。
五「僕の生徒にイカれた思想を、吹きこまないでもらおうか。」
気がつくと夏油さんの後方に、五条先生や姉さん、その他色んな呪術師が集結していた。
夏「悟〜!!久しいね〜!!それに凛も元気だったかい?」
五「まずその子達から離れろ、傑。」
貴2「早く離れてください、夏油君。」
夏「今年の一年は粒揃いと聞いたが、成程……君達の受け持ちか。」
夏「特級被呪者、神崎家の氷術師、突然変異呪骸、呪言師の末裔、そして……禪院家のおちこぼれ。」
真「テメェ」
夏「発言には気をつけろ。君のような猿は、私の世界にはいらないんだから。」
あんなに努力している真希に、落ちこぼれだと言うの?……何も知らない癖に……。
貴「いい加減に……」
我慢出来なくて、夏油さんに真希に対する発言を訂正してもらおうと思ったら、憂太が自分の肩に絡んでいた夏油さんの腕を、思いっきり弾いた。
乙「ごめんなさい……夏油さんが言ってることはまだよく分かりません……けど、友達を侮辱する人の手伝いは僕にはできない!!」
貴「憂太……。」
憂太がはっきり言ってくれたことで、私の怒りが少し収まった。
五「じゃあ一体どういうつもりでここに来た。」
夏「……宣戦布告さ。」
貴2「宣戦布告…ですか…。」
夏「お集まりの皆々様!!耳の穴かっぽじってよーく聞いて頂こう!!!来たる12月24日!!日没と同時に!!我々は百鬼夜行を行う!!!場所は呪いの坩堝、東京新宿!!呪術の聖地、京都!!各地に千の呪いを放つ……下す命令は勿論〝鏖殺〟だ。地獄絵図を描きたくなければ、死力を尽くして止めにこい。」
夏「思う存分……呪い合おうじゃないか……。」
(何それ……。鏖殺って東京も京都も沢山人がいるのに……。)
益々夏油さんの言っていることが理解できなかった。人が多い都市部中心に呪いなんて放ったら、呪いが人々を襲い街が大変なことになってしまう。怪我人だって大勢でる……最悪死人だって……。
それなのに夏油さんは、お仲間の女子高校生の竹下通りのクレープが食べたいという理由で、先程の態度とは変わり人が良さそうな表情に戻り、その場を離れようとしていた。鏖殺って言っていた人がする表情ではない。スイッチの切り替わりのように態度が変わった。本当に恐ろしい人……。
五「このまま行かせるとでも?」
夏「やめとけよ……。」
夏油さんかそう言うと、私達の周りにいきなり大勢の呪いが群がっていた。
夏「かわいい生徒が、私の間合いだよ。……それでは皆さん、戦場で。」
夏油さん達は、来た時に乗っていた、巨大な鳥の呪い共に、その場を去っていた。