第3章
夢小説設定
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────── 数日後の呪術高専
あれから私達は、組手を終えて教室で待機していた。組手だが、やっぱり姉さんには勝てなかった。姉妹とはいえ、ここまで差が出るものなのかとも思ったが、仕方ない。姉さんは私の目標なのだから、そう簡単に勝っても嬉しくないけど、やっぱり悔しい……。
先に組手を終えていた真希や、パンダ君に私達の組手を見て貰ってアドバイスを貰っていた所、校門から二人の姿が見えたから一時中断し、二人を校門まで迎えに行った。五条先生が、以前狗巻君にうってつけの任務だと言っていたため、大丈夫だろうと高を括っていたが、二人から聞くとそれなりに苦労したらしい。確かに二人を見てみると狗巻君も憂太も怪我はあったが、酷い傷ではなかったため、安心した。
その日は二人が怪我をしていることもあり、すぐ解散になった。そしてこれは、その数日後の出来事。
狗巻君は外で草木に水をあげている。その様子を私と憂太とパンダ君は廊下の窓から見ていた。その時、パンダくんは狗巻君の事情をおもむろに語り出した
パ「棘の〝呪言〟はなァ……生まれた時から使えちゃったから、昔はそれなりに苦労したみたいだ。呪うつもりのない相手を、呪っちゃったりな。境遇としては、憂太に近い。」
乙「…!」
貴「……。」
狗巻君の家の事情を詳しく知っている訳では無いが、言葉に呪いがこもるというのは、言葉を発するだけで簡単に相手を呪うことができる反面、無意識に出た言葉でも呪力がこもり、相手を呪ってしまうということ。いちいち言葉に気をつけなければならないとても扱うことが難しい術式だ。
それを生まれた時からなんて考えると、その苦労や辛さは想像を遥かに超える。そんなことを考えていて、私は黙ってパンダ君の語りを聞いていた。
パ「だから入学当初からオマエを気にかけてたみたいでな。誤解されやすいけど、善い奴なんだ。これからも、よろしく頼む。」
パンダ君は狗巻君と仲が良い。扱う言葉が限られてしまい、相手に誤解されがちな狗巻くんが、実は当初から憂太の事を気にかけていた事を説明していた。
貴「大丈夫だよパンダ君……。乙骨君……今ならあの時私が言った意味……分かるでしょ?」
狗巻君の優しさが。
乙「うん!……僕こそ…」
憂太が答えようとしたその時、憂太の頭を真希が棒で殴りつけていた。大方昼の練習を行うため、呼びに来たのだろう。それにしては些か暴力的だけど。
真「オラ、昼練いくぞ!!」
乙「あっ……そっか。」
貴「二人とも頑張ってね〜。」
パ「ほほ〜う」ニヤニヤ
パンダくんは二人を見て、ニヤニヤ笑っている。まだ真希が憂太の事を好きだと思ってるのかな。有り得なくは無いけど、本当にそうだったら少し悲しい。友達と好きな人が被るという経験は、いつまで経っても慣れない。
まぁ……里香には憂太がいるし、憂太には里香がいるからな……どっちを応援するか迷うけど……。
そんなことを考えていると、二人に着いて行く気が失せてしまった。二人は昼練するなら、私は狗巻君と一緒に花壇に水やりしてこうかな。自分は行かないよと遠回しにアピールしてみたのだが、
真「パンダ何笑ってんだ!!殺すぞ!!あと憐!!オマエも行くんだからな!!今度こそ凛に勝てるように私が鍛えてやるよ。」
貴「……えっ!?私まで!?いや鍛えてくれるのは嬉しいけど……私は狗巻君と一緒に水やりしようかな〜。」
真「はぁ?そんなの棘だけでじゅうぶんだろ。ほら、行くぞ。」
真希にはそんな私の複雑な気持ちを知る由もない……むしろ私の苦手な体術を心配して鍛えてくれるらしい……。真希は私の腕を掴み、歩き出した。私の意図は伝わらなかったけど、彼女は純粋に私の為に言ってくれている事が分かる。
(やっぱり優しいな……真希も。)
真希は優しい友達だから、嫌いにはなれない。それに、これは私の気持ちの問題だ……早く慣れなくちゃ。
乙「……僕も頑張るからさ、憐ちゃんも頑張ろ?」
私が昼練を嫌がってるように見えたのか、後から着いてくる憂太が私の隣に来て、笑顔で励ましてくれた。……ずるいなもう。本人は分かってやってないから尚のことずるい……憂太の笑顔に弱いのに……。
貴「そうね……乙骨君が頑張るんだもの、私も頑張らなきゃね。」
その様子を見た憂太は、安心したかのように笑い、ふと気になったのか、真希についてあることを聞き始めた。
乙「真希さん、ちょっと。」
真「あ?」
乙「刀に呪いをこめるの……もう少しスムーズにやりたいんだけど、何かコツとか」
貴「憂太それは……?!」
真「知らねぇ……。呪力のことは私に聞くな。」
そう言うと私の腕を離して、先にスタスタと歩いて行ってしまった。その姿を見て、憂太は不思議な顔をして私に問いかける。
乙「……?憐ちゃん、真希さん、どうかしたの?」
貴「……これは真希の問題だから軽々しく口に出来ないの。気になるかもしれないけど、いつか真希が自分の口から話すと思うから待っててあげて?」
そう、これは真希の事情だから私が勝手に言える事では無い。
真希が話さないと判断したのなら、私も話すべきではないだろう。真希の家庭の事情は知っている……本人も話してくれたし、何より呪術師で知らない人はいないだろう。真希の家は五条先生と同じ、呪術界御三家である〝禪院家〟なのだから。
でも私は真希から聞いてる情報しか知らないけど、良いイメージはない。どんな事情があるにせよ、生まれてきた子どもを大事にしない家族なんて、ろくでもない人達だと勝手に思っている。
あとは双子の妹、真依ちゃんがいてその子も呪術師を目指して、姉妹校である京都の呪術高専にいることぐらいかな。
(仲はあまり良くないらしいけど、姉妹で呪術師をやってるなんて私達みたい……。)
真希の事は本人が話すまで待っててあげて欲しいことを憂太に伝えると、憂太は素直に聞き入れてくれた。
乙「分かったよ……。真希さんから話してくれるのを待つね。それと憐ちゃん……さっき僕の……ううん、何でもない。」
貴「僕の……何??」
乙「……大したことじゃないから、気にしないで。真希さんに置いてかれちゃうから、早く行こう!」
貴「わぁ!?ちょっと手を掴まなくても早く歩けるよ〜!!」
憂太が言いかけてた言葉をやめ、いきなり私の手を掴み始めスピードを上げて歩き出した。異性と手を繋ぐという経験は幼少の頃の憂太としかないから、緊張してしまう。心の準備が必要だから、いきなりはやめて欲しい。
(憂太は無意識なんだろうけど、手を繋ぐってなんか恥ずかしい……。真希が気づく前に自然と離さなきゃな)
そう思うも結局手を繋いだまま、真希に追いつき、真希からそのことを指摘されお互い真っ赤になって手を離すのは、もう少し先の話。
あれから私達は、組手を終えて教室で待機していた。組手だが、やっぱり姉さんには勝てなかった。姉妹とはいえ、ここまで差が出るものなのかとも思ったが、仕方ない。姉さんは私の目標なのだから、そう簡単に勝っても嬉しくないけど、やっぱり悔しい……。
先に組手を終えていた真希や、パンダ君に私達の組手を見て貰ってアドバイスを貰っていた所、校門から二人の姿が見えたから一時中断し、二人を校門まで迎えに行った。五条先生が、以前狗巻君にうってつけの任務だと言っていたため、大丈夫だろうと高を括っていたが、二人から聞くとそれなりに苦労したらしい。確かに二人を見てみると狗巻君も憂太も怪我はあったが、酷い傷ではなかったため、安心した。
その日は二人が怪我をしていることもあり、すぐ解散になった。そしてこれは、その数日後の出来事。
狗巻君は外で草木に水をあげている。その様子を私と憂太とパンダ君は廊下の窓から見ていた。その時、パンダくんは狗巻君の事情をおもむろに語り出した
パ「棘の〝呪言〟はなァ……生まれた時から使えちゃったから、昔はそれなりに苦労したみたいだ。呪うつもりのない相手を、呪っちゃったりな。境遇としては、憂太に近い。」
乙「…!」
貴「……。」
狗巻君の家の事情を詳しく知っている訳では無いが、言葉に呪いがこもるというのは、言葉を発するだけで簡単に相手を呪うことができる反面、無意識に出た言葉でも呪力がこもり、相手を呪ってしまうということ。いちいち言葉に気をつけなければならないとても扱うことが難しい術式だ。
それを生まれた時からなんて考えると、その苦労や辛さは想像を遥かに超える。そんなことを考えていて、私は黙ってパンダ君の語りを聞いていた。
パ「だから入学当初からオマエを気にかけてたみたいでな。誤解されやすいけど、善い奴なんだ。これからも、よろしく頼む。」
パンダ君は狗巻君と仲が良い。扱う言葉が限られてしまい、相手に誤解されがちな狗巻くんが、実は当初から憂太の事を気にかけていた事を説明していた。
貴「大丈夫だよパンダ君……。乙骨君……今ならあの時私が言った意味……分かるでしょ?」
狗巻君の優しさが。
乙「うん!……僕こそ…」
憂太が答えようとしたその時、憂太の頭を真希が棒で殴りつけていた。大方昼の練習を行うため、呼びに来たのだろう。それにしては些か暴力的だけど。
真「オラ、昼練いくぞ!!」
乙「あっ……そっか。」
貴「二人とも頑張ってね〜。」
パ「ほほ〜う」ニヤニヤ
パンダくんは二人を見て、ニヤニヤ笑っている。まだ真希が憂太の事を好きだと思ってるのかな。有り得なくは無いけど、本当にそうだったら少し悲しい。友達と好きな人が被るという経験は、いつまで経っても慣れない。
まぁ……里香には憂太がいるし、憂太には里香がいるからな……どっちを応援するか迷うけど……。
そんなことを考えていると、二人に着いて行く気が失せてしまった。二人は昼練するなら、私は狗巻君と一緒に花壇に水やりしてこうかな。自分は行かないよと遠回しにアピールしてみたのだが、
真「パンダ何笑ってんだ!!殺すぞ!!あと憐!!オマエも行くんだからな!!今度こそ凛に勝てるように私が鍛えてやるよ。」
貴「……えっ!?私まで!?いや鍛えてくれるのは嬉しいけど……私は狗巻君と一緒に水やりしようかな〜。」
真「はぁ?そんなの棘だけでじゅうぶんだろ。ほら、行くぞ。」
真希にはそんな私の複雑な気持ちを知る由もない……むしろ私の苦手な体術を心配して鍛えてくれるらしい……。真希は私の腕を掴み、歩き出した。私の意図は伝わらなかったけど、彼女は純粋に私の為に言ってくれている事が分かる。
(やっぱり優しいな……真希も。)
真希は優しい友達だから、嫌いにはなれない。それに、これは私の気持ちの問題だ……早く慣れなくちゃ。
乙「……僕も頑張るからさ、憐ちゃんも頑張ろ?」
私が昼練を嫌がってるように見えたのか、後から着いてくる憂太が私の隣に来て、笑顔で励ましてくれた。……ずるいなもう。本人は分かってやってないから尚のことずるい……憂太の笑顔に弱いのに……。
貴「そうね……乙骨君が頑張るんだもの、私も頑張らなきゃね。」
その様子を見た憂太は、安心したかのように笑い、ふと気になったのか、真希についてあることを聞き始めた。
乙「真希さん、ちょっと。」
真「あ?」
乙「刀に呪いをこめるの……もう少しスムーズにやりたいんだけど、何かコツとか」
貴「憂太それは……?!」
真「知らねぇ……。呪力のことは私に聞くな。」
そう言うと私の腕を離して、先にスタスタと歩いて行ってしまった。その姿を見て、憂太は不思議な顔をして私に問いかける。
乙「……?憐ちゃん、真希さん、どうかしたの?」
貴「……これは真希の問題だから軽々しく口に出来ないの。気になるかもしれないけど、いつか真希が自分の口から話すと思うから待っててあげて?」
そう、これは真希の事情だから私が勝手に言える事では無い。
真希が話さないと判断したのなら、私も話すべきではないだろう。真希の家庭の事情は知っている……本人も話してくれたし、何より呪術師で知らない人はいないだろう。真希の家は五条先生と同じ、呪術界御三家である〝禪院家〟なのだから。
でも私は真希から聞いてる情報しか知らないけど、良いイメージはない。どんな事情があるにせよ、生まれてきた子どもを大事にしない家族なんて、ろくでもない人達だと勝手に思っている。
あとは双子の妹、真依ちゃんがいてその子も呪術師を目指して、姉妹校である京都の呪術高専にいることぐらいかな。
(仲はあまり良くないらしいけど、姉妹で呪術師をやってるなんて私達みたい……。)
真希の事は本人が話すまで待っててあげて欲しいことを憂太に伝えると、憂太は素直に聞き入れてくれた。
乙「分かったよ……。真希さんから話してくれるのを待つね。それと憐ちゃん……さっき僕の……ううん、何でもない。」
貴「僕の……何??」
乙「……大したことじゃないから、気にしないで。真希さんに置いてかれちゃうから、早く行こう!」
貴「わぁ!?ちょっと手を掴まなくても早く歩けるよ〜!!」
憂太が言いかけてた言葉をやめ、いきなり私の手を掴み始めスピードを上げて歩き出した。異性と手を繋ぐという経験は幼少の頃の憂太としかないから、緊張してしまう。心の準備が必要だから、いきなりはやめて欲しい。
(憂太は無意識なんだろうけど、手を繋ぐってなんか恥ずかしい……。真希が気づく前に自然と離さなきゃな)
そう思うも結局手を繋いだまま、真希に追いつき、真希からそのことを指摘されお互い真っ赤になって手を離すのは、もう少し先の話。