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みんなでホラー映画を観る話

話は終盤へとさしかかる。
いよいよパッケージにもあった井戸から髪の長い女が出てくるシーンだ。
青江は、瞳を輝かせていまかいまかと前のめりになって見ている。

鯰尾は審神者と同じように手で隠しながらチラチラしながら観ている。

明石は審神者から離れ頬杖をつきながら観ていた。

問題の審神者は、完全に顔を下に伏せていた。

来る。
女の人が近付いてくる。
この後の展開の予想がついているのか更に身を縮める。

ふと、半分退屈そうに見ていた明石は着ているジャージに違和感を感じた。
目線をおとすと、審神者が自分のジャージの端を掴んでいたからだ。
怖さゆえの無意識なのだろう。

「主はんちょっと手失礼しますで」

審神者の手からジャージを離す。

「あぁごめん、国行」

とその瞬間、審神者の視界が真っ暗になる。

「え?」

明石が自分の上着を脱いで、ばさりと審神者の頭の上から被せたのだった。
そして耳を塞ぐようにそのまま体を引き寄せられる。

「く、国行?」

「これなら少しは怖ないやろ?」

今どんな顔をしているかなんて分からないが、明石なりの優しさであることは分かった。

「そうだな、ありがとう」

青江も鯰尾もテレビに集中していてこちらには気づいていなかった。

そして井戸から這い登ってきた女がこちらにゆっくりと近付いてくる。
恐怖を煽るBGMと共に画面いっぱいに女の顔が映された時

「わぁぁぁああああ!!!」

大声と共に審神者の部屋の障子が開いた。

「ぎゃあああああ」
「いやあああああ」

部屋に審神者と鯰尾の悲鳴が響き渡った。







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