忠実な彼ほど牙を剥く
バタバタと本丸の廊下を歩く。
主の部屋から少し離れたところで立ち止まった。
「俺は一体何をやっているんだ………」
思い出しただけでもあの時の自分を殴りたい。
急に抱きしめるなどと……主も困っていたはず…。
ハァ……と1人盛大なため息をついた。
「おっ、長谷部じゃないか。」
そんな自分に声を掛けてきたのは鶴丸国永だった。
「何しているんだ?驚きを探しているのか?」
「馬鹿言え、それはお前ぐらいだ。ちょっと考え事をしていただけだ」
鶴丸はハハッと笑うと何かに気づいたのか急にスンスンと俺の周囲を嗅ぎはじめた。
「なんだ?急に」
「血の匂いがする」
「俺たちは刀だろうが人の身を得ているんだ。怪我の一つや二つはするだろう?」
「いや、恐らくこれは長谷部の血ではないだろう。」
全く恐ろしい男だ。
俺が何をしてきたか分かっている。
しかしこいつは犬か何かか…。どうして匂いで分別できるんだ。
そう不思議に思っていると鶴丸はニヤニヤした顔で俺を見ていた。
「そういや、あの視察官どんな奴だったんだ?俺は好きじゃないかな。見た目からして何だか嘘くさい感じが好きじゃない。」
「どういうことだ?」
「まんまの意味さ。嘘くさい。本当は政府の人間じゃなかったりしてな。」
鶴丸は笑っていたが、可能性は無いとは言いきれない。
しかしもう終わったことだ。
主を待たせてはいけないと服だけ着替えてきたが、やはり匂いまではとれていなかったか。
まぁ主は気づいていなかったが。
「主には言うなよ?」
「言わないさ。死んだ奴の話なんてしても面白くないだろ?」
本当に恐ろしい男だ。
顔色ひとつ変えずに笑いながら話しをするのだから。
「さて、驚かしついでに主の顔でも見に行ってくるとするか。じゃあな長谷部」
「全く程々にしとけよ」
手だけ振る鶴丸の後ろ姿を見送るとほうきとりとりを取りに向かった。
主の部屋から少し離れたところで立ち止まった。
「俺は一体何をやっているんだ………」
思い出しただけでもあの時の自分を殴りたい。
急に抱きしめるなどと……主も困っていたはず…。
ハァ……と1人盛大なため息をついた。
「おっ、長谷部じゃないか。」
そんな自分に声を掛けてきたのは鶴丸国永だった。
「何しているんだ?驚きを探しているのか?」
「馬鹿言え、それはお前ぐらいだ。ちょっと考え事をしていただけだ」
鶴丸はハハッと笑うと何かに気づいたのか急にスンスンと俺の周囲を嗅ぎはじめた。
「なんだ?急に」
「血の匂いがする」
「俺たちは刀だろうが人の身を得ているんだ。怪我の一つや二つはするだろう?」
「いや、恐らくこれは長谷部の血ではないだろう。」
全く恐ろしい男だ。
俺が何をしてきたか分かっている。
しかしこいつは犬か何かか…。どうして匂いで分別できるんだ。
そう不思議に思っていると鶴丸はニヤニヤした顔で俺を見ていた。
「そういや、あの視察官どんな奴だったんだ?俺は好きじゃないかな。見た目からして何だか嘘くさい感じが好きじゃない。」
「どういうことだ?」
「まんまの意味さ。嘘くさい。本当は政府の人間じゃなかったりしてな。」
鶴丸は笑っていたが、可能性は無いとは言いきれない。
しかしもう終わったことだ。
主を待たせてはいけないと服だけ着替えてきたが、やはり匂いまではとれていなかったか。
まぁ主は気づいていなかったが。
「主には言うなよ?」
「言わないさ。死んだ奴の話なんてしても面白くないだろ?」
本当に恐ろしい男だ。
顔色ひとつ変えずに笑いながら話しをするのだから。
「さて、驚かしついでに主の顔でも見に行ってくるとするか。じゃあな長谷部」
「全く程々にしとけよ」
手だけ振る鶴丸の後ろ姿を見送るとほうきとりとりを取りに向かった。