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忠実な彼ほど牙を剥く

「ほぉ……これは綺麗な本丸ですなぁ。建て直しか何かされましたかな?」

「いえ、先代の物を引き継いでいるので建て直しとかは一切してないです」

「ほぉ……なるほど……」

視察官は、周りをキョロキョロと見ながら何やら紙にチェックをつけている。

「刀剣男士の練度具合についてはどんなかんじですか?」

「うちは、緩くかつ公平に皆に戦闘経験を積んで欲しいから入れ替えで出陣させて練度をあげていってますね」

視察官はさらさらと紙にペンを走らせながら頷きながら話を聞いていた。

「では次は審神者様と近侍の方と面談をさせて頂きたいのですが、どこか空いてる部屋はございますか?」

「あぁ…、では私の部屋とかいかがですか?ここからなら1番近いし別に見られて困るものとかもないですし」

「ほうこれはこれは審神者様のお部屋ですかぁ!興味深いですなぁ!!ならそちらで面談をさせて頂きます」

男は主の部屋と聞くなり急にテンションが上がった。
少なくとも俺にはそう見えた。
そんな男を見て思わず眉間に皺を寄せていた。
気味が悪い。

「主、俺は反対です。政府の者とはいえ見知らぬ男を部屋にあげるなど………」

俺は主にそう耳打ちをしたが

「大丈夫だよ、面談なんだからすぐに終わるだろうし。それに隣には長谷部がいるだろ?」

と聞きいれてもらえなかったがしかしそれはつまり俺が頼られているということ。そう思うと嬉しくて思わず桜を散らせてしまうところだったがそれはダメだと自分を抑えた。
これから面談があるのだ、しっかり主をサポートせねば。

主は部屋に着くと障子を開けて視察官を中へと招いた。

机を挟んで主の隣に俺が主の前に視察官と言う並びで座った。

「それでは面談を始めていきたいんですけど、その前に…こんな事を申し上げるのも恥ずかしいのですが、お水でいいので1杯頂けないでしょうか?」

視察官は申し訳なさそうにそう言った。

「あぁーすみません!気が利かなくって…。長谷部、頼めるか?」

「承知しました」

俺は立ち上がりすぐにお持ちしますと視察官に一声かけると厨へと向かった。
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