蕾が花開くとき
明石国行がこの本丸に来てから数ヶ月がたった。
蛍丸と愛染国俊の保護者として本丸の一員としてそれなりに周りともうまくやっていた。
審神者を除いては。
今の審神者は前の審神者とは違う。
そう分かっていても、やはり苦手意識というものはそうそうなくなるものではない。
話すには普通に話すが、できるだけ審神者に会わないように避けていた。
それには愛染も蛍丸も知っていたが、仕方のないことだと2人とも口には出さなかった。
ある日、夜遅くに目が覚めた明石は厠に行こうと寝ている2人を起こさないようにそっと自室を出た。
景趣は春になっており、本丸のあちこちには立派な桜の木が立っていた。
前の本丸でも桜は見たことはあったが同じ桜とはいえど違う本丸、違う景色なわけでこの本丸で明石は初めて春を迎えた。
用を足し、自室へ戻ろうと廊下を歩いて角を曲がろうとした時、縁側に誰かが座っているのが見えた。
髪の長い人。後ろ姿では分からなかったが髪の長さ的に鯰尾だと明石は思った。
「どしたん?こんな時間に……」
明石は鯰尾だと思って思わず声をかけた。
「お、あれ?明石?」
しかしそれは鯰尾ではなく審神者だった。
「え」
明石は内心しもた…と思った。
鯰尾だと思っていたらまさかの審神者だったからだ。
「後ろ姿見て鯰尾やと思いましたわ。主はんやったんですね…これはどうもすんまへん。」
じゃあ自分はこれでと、その場から立ち去ろうとしたとき
「明石、少し話さないか?」
と審神者が声をかけた。
蛍丸と愛染国俊の保護者として本丸の一員としてそれなりに周りともうまくやっていた。
審神者を除いては。
今の審神者は前の審神者とは違う。
そう分かっていても、やはり苦手意識というものはそうそうなくなるものではない。
話すには普通に話すが、できるだけ審神者に会わないように避けていた。
それには愛染も蛍丸も知っていたが、仕方のないことだと2人とも口には出さなかった。
ある日、夜遅くに目が覚めた明石は厠に行こうと寝ている2人を起こさないようにそっと自室を出た。
景趣は春になっており、本丸のあちこちには立派な桜の木が立っていた。
前の本丸でも桜は見たことはあったが同じ桜とはいえど違う本丸、違う景色なわけでこの本丸で明石は初めて春を迎えた。
用を足し、自室へ戻ろうと廊下を歩いて角を曲がろうとした時、縁側に誰かが座っているのが見えた。
髪の長い人。後ろ姿では分からなかったが髪の長さ的に鯰尾だと明石は思った。
「どしたん?こんな時間に……」
明石は鯰尾だと思って思わず声をかけた。
「お、あれ?明石?」
しかしそれは鯰尾ではなく審神者だった。
「え」
明石は内心しもた…と思った。
鯰尾だと思っていたらまさかの審神者だったからだ。
「後ろ姿見て鯰尾やと思いましたわ。主はんやったんですね…これはどうもすんまへん。」
じゃあ自分はこれでと、その場から立ち去ろうとしたとき
「明石、少し話さないか?」
と審神者が声をかけた。