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明石国行の話

そこにはまるでお互いをかばい合うように抱き合って横たわる血まみれの…

「蛍丸!!!国俊!!!」

駆け寄り抱き上げるも2人ともすでに体は冷たく腕はだらりと力なく垂れ下がりピクリとも動かなかった。
本体の刀は近くに落ちており折れてはいないものの2人の血で塗れていた。

「主はん、早く手当を!!!!」

「2人とも俺を庇ったんだ、それ程の傷をおっているんだ。本体が折れていなくとももう助からない」

「本体が無事ならもう一度顕現したら救えるかもしれへん!!!」

数%でも2人が助かるなら自分はそれにかけたい。
2人を助けることにとにかく必死だった。

「残念だけれど、2人が犠牲になったおかげで俺はこうして生きれているんだ。2人ならまた顕現させてやるから、とりあえず俺を安全な所まで連れて行ってくれ。俺はこんなところで死にたくないからな」

は?

「主はんの言うてる意味がわからへんのやけど…」

「言葉の通りだよ。死にたくないんだ。奴らに見つかる前に一刻も早く本丸を出たい。それを明石お前にお願いしたい」

「ならせめて2人の本体だけでも」

「そんな血に塗れた汚いもの置いていけ。そのせいで奴らに見つかったらどうする」

まるで別人のようだった。
あれ程慕われていたのにも関わらず、自分が
窮地に立たされたらそれすらも捨てて自分のことを優先する。
そこに救える命があったとしても。
2人はただの駒やった。
2人の命と引き換えに自分を優先させる。


腹の底からふつふつと何かが込み上げてくる。
きっとこれが憎いという感情なのだろう。

「分かりました…ほな行きましょか」

ギリっと唇を噛み締め2人の本体をそっと置くと立ち上がり男の手を引いた。
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