秦の怪鳥
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姉様と王騎様の関係性は誰1人として立ち入れない。
もちろん私にも。
ずっと2人の姿を 幸せな姿を見たかった。
私の望みは2人の幸せだけだった。
それが あんなふうに打ち砕かれる日が来るとは
「姉様…?」
嘘だ
「嘘だと、言ってください」
周りの兵に問いかける。
返事はない。
「おうきさ…」
王騎様、 問いかけには応じてはくれなかった。
ひとり、大声を上げながら泣いた。
姉様が死んだ。
六将摎が死んだ日 私の心も死んだ。
「凛、入るぞ」
部屋の主の返事を待たずしてずっしりとした甲冑に身を包んだ男が入る。
「騰様…」
「ひどい顔をしているな」
「…」
いつもなら失礼ですよ!なんて帰ってくるが
「…無理もないが」
横たわっている凛の寝台に腰をかける。
何も言わずただ頭を撫でる、そして頬。
数多の戦で傷ついた大きな手。
心地がいいのは、
「飯は食べることだ。それを殿もお望みだ…そしてお前の姉も」
王騎
姉
その言葉にまた涙が溢れる。
騰はただただ黙って側に居た。
気がつくと眠っていた。
何時間くらいだろうか、
まともに眠ってなかった。
「よく寝た…」
すると不思議なものでお腹も空く。
今はもう夜更けだ
自室をふらふらと抜け出し炊事場に向かう。
今日は仕事をサボってしまっていた。
戦の才がない凛は炊事場を任されており、この城の主人王騎の身の周りの世話をするのが仕事だ。
そして姉、摎の支度も。
血は繋がっていない
「血の繋がりがなくとも、凛のことは本当の妹だと思っているよ」
姉の花のような笑顔を思い出す。
私は、
扉を開け食べ物を探す
そして酒も
飲んだことはないが、嫌なことを忘れられるらしい
試してみる価値はある。
城の中庭にある東屋へ向かう。
すると大きな影がひとつ
どきり、
「王騎様…」
すると大きな背中はこちらを向いた。
月明かりに照らされる優しい表情。
しかし、寂しげな表情に変わる。
正直気まずかった。
「凛、起きてたのですね。先程は…...おや、それは」
なにか言いかけ、目線の先には凛のもつ酒瓶。
「ンフ、あなたにはまだはやいでしょう」
貸しなさいと取られてしまった。
そしてその酒の栓を開け自分の盃に注ぐ王騎。
よくみると机の上に飲み干した酒瓶が散らばっている。
「座らないのですか?」
凛は黙って隣に座る。
見たことも無い姿に困惑しているが、無理もない。
黙って空を見上げる。
今日は満月だ。
今日に限って、恐ろしいほど綺麗な満月だ
「凛、」
何分経っただろう、と思っていたところで呼びかけられる。
「すみませんでした」
「あなたの姉を、私は守ることができなかった。全て私の責任です」
目を閉じながら王騎は呟く。
「…うっ…うぅ…」
嗚咽が我慢できず手を口にあてる。
背中に温かい感触。
優しくさすりながら王騎は謝る。
王騎様の方が、辛いのに。
自分ばかりだ
「情けないです」
「…」
「情けないです、自分が。許せません...!自分を!!....ッもし私に才があれば....!もし私が姉様を守れていたら…でも私には…なにも...ない」
うわぁああと声をあげて泣く。
「私も自分が許せません」
その言葉に凛はハッとし、顔を上げる。
なんて、なんて…
「なんて神様は残酷なのですか」
王騎の表情があまりにも、
気づけば凛は王騎を抱きしめていた。
あまりに体格がちがう
抱きしめることはできない
が、無我夢中で王騎を抱きしめる。
縋りついて、背中を撫でる。
王騎の息を呑む音が聞こえる
「こんなにも…あなたは大きくなったのですね」
王騎は凛の背中に手を回し、抱きしめる。
守るべき者はもうひとり、
もう見失わずにすむように
月が2人を照らしていた。
もちろん私にも。
ずっと2人の姿を 幸せな姿を見たかった。
私の望みは2人の幸せだけだった。
それが あんなふうに打ち砕かれる日が来るとは
「姉様…?」
嘘だ
「嘘だと、言ってください」
周りの兵に問いかける。
返事はない。
「おうきさ…」
王騎様、 問いかけには応じてはくれなかった。
ひとり、大声を上げながら泣いた。
姉様が死んだ。
六将摎が死んだ日 私の心も死んだ。
「凛、入るぞ」
部屋の主の返事を待たずしてずっしりとした甲冑に身を包んだ男が入る。
「騰様…」
「ひどい顔をしているな」
「…」
いつもなら失礼ですよ!なんて帰ってくるが
「…無理もないが」
横たわっている凛の寝台に腰をかける。
何も言わずただ頭を撫でる、そして頬。
数多の戦で傷ついた大きな手。
心地がいいのは、
「飯は食べることだ。それを殿もお望みだ…そしてお前の姉も」
王騎
姉
その言葉にまた涙が溢れる。
騰はただただ黙って側に居た。
気がつくと眠っていた。
何時間くらいだろうか、
まともに眠ってなかった。
「よく寝た…」
すると不思議なものでお腹も空く。
今はもう夜更けだ
自室をふらふらと抜け出し炊事場に向かう。
今日は仕事をサボってしまっていた。
戦の才がない凛は炊事場を任されており、この城の主人王騎の身の周りの世話をするのが仕事だ。
そして姉、摎の支度も。
血は繋がっていない
「血の繋がりがなくとも、凛のことは本当の妹だと思っているよ」
姉の花のような笑顔を思い出す。
私は、
扉を開け食べ物を探す
そして酒も
飲んだことはないが、嫌なことを忘れられるらしい
試してみる価値はある。
城の中庭にある東屋へ向かう。
すると大きな影がひとつ
どきり、
「王騎様…」
すると大きな背中はこちらを向いた。
月明かりに照らされる優しい表情。
しかし、寂しげな表情に変わる。
正直気まずかった。
「凛、起きてたのですね。先程は…...おや、それは」
なにか言いかけ、目線の先には凛のもつ酒瓶。
「ンフ、あなたにはまだはやいでしょう」
貸しなさいと取られてしまった。
そしてその酒の栓を開け自分の盃に注ぐ王騎。
よくみると机の上に飲み干した酒瓶が散らばっている。
「座らないのですか?」
凛は黙って隣に座る。
見たことも無い姿に困惑しているが、無理もない。
黙って空を見上げる。
今日は満月だ。
今日に限って、恐ろしいほど綺麗な満月だ
「凛、」
何分経っただろう、と思っていたところで呼びかけられる。
「すみませんでした」
「あなたの姉を、私は守ることができなかった。全て私の責任です」
目を閉じながら王騎は呟く。
「…うっ…うぅ…」
嗚咽が我慢できず手を口にあてる。
背中に温かい感触。
優しくさすりながら王騎は謝る。
王騎様の方が、辛いのに。
自分ばかりだ
「情けないです」
「…」
「情けないです、自分が。許せません...!自分を!!....ッもし私に才があれば....!もし私が姉様を守れていたら…でも私には…なにも...ない」
うわぁああと声をあげて泣く。
「私も自分が許せません」
その言葉に凛はハッとし、顔を上げる。
なんて、なんて…
「なんて神様は残酷なのですか」
王騎の表情があまりにも、
気づけば凛は王騎を抱きしめていた。
あまりに体格がちがう
抱きしめることはできない
が、無我夢中で王騎を抱きしめる。
縋りついて、背中を撫でる。
王騎の息を呑む音が聞こえる
「こんなにも…あなたは大きくなったのですね」
王騎は凛の背中に手を回し、抱きしめる。
守るべき者はもうひとり、
もう見失わずにすむように
月が2人を照らしていた。