いつもみてる(凪×夢主)

―最近お昼を食べている時に視線を感じる。

霊感はないし、付きまとわれる出来事もない(はず)
こないだ大掃除したから、縁起の良い神サマが見守ってくれているだろうとプラスに考えて夢主は保冷バッグから恵方巻を取り出した。
今日は節分。
午前中の講義が始まる前、彼女は近所のスーパーへ行き恵方巻をたくさん買い込んだ。恵方巻がたくさん入った保冷バッグを持ったまま午前中の講義を終え、人目がつかない場所へやって来た。
大学で出来た友達には秘密にしているが、夢主は食べることが大好きな大食いである。彼女達とランチする時は普通盛りで我慢しているが物足りず、別れた後は追い飯をしにラーメン屋などに行くこともしばしば。
今日は恵方巻がたくさん食べれるので、彼女達には用事があると誤魔化し、ランチは一緒に行かなかった。
「よーし、食べるぞ」
夢主の横には海鮮、田舎巻、海老カツ、トンカツ、キンパ、焼肉、ツナマヨ、海老マヨなど様々な恵方巻が置かれた。
「あ。せっかくだから写真撮ろう。
えーと、スマホスマホ……あれ、スマホ……スマホ……さっき××ちゃんとチックトトック見た後にしまって…………あれ、あれ…………ない?
うそっ。ない!? 落とした!?」
夢主の声が響いた。
「…………最悪。恵方巻食べたいけど、個人情報が詰まってる塊の方が大事というかヤバいし。
はぁ~……食べたかったなぁ。××ちゃんが食堂にいますよーに……」


「あー。夢主いたー」


「!? な、凪……くん!?」
夢主の目の前にサッカー部所属の凪誠士郎が現れた。ゼミは違うが、全員必須科目の講義で一緒になることはある。彼より相方の御影玲王と講義がよく被り、夢主とは世間話をする仲である(友達含め御影玲王にときめいている学生が多い。夢主は御影の友達なのか謎ポジションにいる)
「ん」
凪は夢主に近づきスマホを渡した。
「あ! 私のスマホ!」
「落ちてたから拾った」
「あ…ありがとう。今から探しに行こうと思ってて……」
(……凪くんよく見ると背が高いなぁ。そう言えば玲王くんとは世間話するけど、凪くんと話すのは初めてだっけ。いや玲王くんと話している時に一緒に話したかも?)
「食堂と図書館に行ったけど夢主いなかったからここかなって思って来た」
「えっ。こ、この場所知ってたの?」
「うん。俺、夢主が行く場所分かるし。
あ、この場所のことは言わないよ。
夢主の大事な場所だし。俺もサボれる探してみようかな―げっ。玲王から鬼電来てる。練習サボったのがバレたか。早すぎでしょ……はぁ~めんどくさいけど行きますかぁ。
んじゃ、夢主。恵方巻どれが美味しかったか教えてね」
凪はスマホを持ちながらバイバイと手を振った。スマホのキーホルダーがゆらゆらと揺れている。
黒猫だが目が1つしかない怖くて可愛いキャラクターのマスコットキーホルダー。
昨日ゲームセンターに出たばかりの新商品だ。
「な、凪くん。それって……」
夢主は恐る恐る彼に尋ねた。
「あぁコレ? 昨日潔達とゲームセンターに行って取ったやつ。黒猫がさ、あと1個しかなくて焦ったんだよねぇ。
そっ。夢主とお揃い。
気づいてるか分からないけど、俺は夢主のこといつも見てるから」
凪の目が鋭く光り、突然風が吹いた。
吹き荒れた風により、彼女のスマホに付いてる1つ目の黒猫マスコットキーホルダーが揺れた(終)
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