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「(うう・・・なに・・・なんなの・・・)」
意識がゆっくりと浮上すると、堅いベッドの上で横たわっており手は後ろで紐のようなもので固定されている。
服装もいつの間にか真っ白でシンプルなワンピースへと着せ替えられていた。
近くに人の気配がないのを確認し、ゆっくりと頭を動かし周囲の情報を集めようとした。
そこは小さな部屋で、シンプルな椅子とベッドがあるだけで他は何もなかった。
鉄製のドアは重く閉ざされたままで動く気配は一切ない。
窓は身長より遥かに高い位置に設置されておりまるで牢屋のような雰囲気だったが牢屋と違う点は清潔感がある点だろうか。
「嫌っ――――――――――――――」
ドアの向こう、それも遠い。
若い女の叫ぶ声が聞こえた。
その瞬間、私の脳は痺れるように動き出し目を見開きながらドアへ目線を動かした。
怖い。
ドタンバタンという音と数人分の足音に人の声。
ぶるりと震えたのは無機質で堅いベッドから伝わる寒さからだったのか、それさえもわからなかった。
暫くすると再び静寂な空間へと戻っていた。
女の叫び声が聞こえてから何分、いや何時間経ったのか・・・泣きそうな気持ちを抑えながらも必死に自分を落ち着かせていると今度はこちらに近付く足音がした。
がちゃり、と鍵を開ける音。
ゆっくりと扉は開かれ影が部屋へと入ってきた。
先程コインランドリーで見た老人の姿とガタイのいい男だ。
「おはよう。起きてたようでよかったよ」
「・・・こんなクソみたいな目覚めは初めてよ」
「ははは、元気そうで何よりだ」
「で、こうして連れてきてどうするつもり?身代金が目的?」
「いやまさか!ちょっと仕事の都合でねえ・・・黒髪の女の子を探してたんだよ」
「・・・なにそれ」
「やってくれ」
「かしこまりました」
私の質問をスルーし、ガタイのいい男は私に近寄る。
「や、やめてよ・・・こないでよ・・・!」
「怯えなくていい。写真を撮るだけだ」
「しゃ、写真?」
「そう。君はそこの椅子に座って写真を撮られるだけでいい」
全く理解ができないが二人の様子からして別に暴力を振るわれる様子はないのは確かだった。
しかし先程の女の叫び声が忘れられず、警戒心は解くことはなかった。
指示の通り、この部屋に最初からあった椅子へと腰をかけると男は写真を3枚撮影し出て行った。
+ + +
「なな子ちゃんまじごめーーーーん!ごめんってー!!」
あの後、スッキリ爽快した俺はシャワーも浴びずにそのまま窓からマンションを飛び出した。
大丈夫、パンツは穿いた。
が、なな子ちゃんの姿は既になく、どっちの方向に行ったのかもわからなかった。
そこへ携帯が鳴り響き慌てて電話に出るものの仕事の依頼の電話だった。
「俺ちゃん昨日から電話運なくない?もうウケるどころか泣きてえわ」
「・・・君の事情は知らないが、仕事の依頼をしたいんだが今いいだろうか?」
電話の相手はじじい。愛しのなな子ちゃんの声を期待していただけにクソへこむ。
しかし電話相手はそんな俺ちゃんに動じる事無く話しを進めようとする。
そういうの嫌いじゃないよ!俺ちゃんだって強引なぐらいが好きなときもある!例えばこの傷心モードの今とか!
「ああはいはい、どうぞ。受けるかどうかはまだわかんねえけどな」
「それは困る、急ぎでな・・・別に殺しをしてほしい訳じゃないんだ」
「まあ傭兵だし?言われればなんでもやるけど、俺ちゃん今忙しいんだよね」
「君の事情もあるとは思うが、護衛を頼みたいんだ。客に荷物を渡すまでの間、商品の安全を確保したいんだ。前に使ってた護衛が死んでしまってね・・・困ってたんだよ」
「WOW!トランスポーターじゃん!車種は黒のBMWの指定ですかお客様?」
「車種の指定はないし、3つのルールなんてのもないよ。どうだろう、急ぎなんだができるだろうか」
「OK、んで急ぎって事だけどいつどこよ」
「明日の夜、場所は―――」
+ + +
「起きろ」
「ん・・・」
「起きたな・・・立て、移動だ」
「は・・・?え・・・なに・・・なんなの」
いつの間にか眠っていたらしい。病院の簡易ベッドみたいので寝たせいで身体中バキバキだ。
身体の痛みが今起きている事が嘘ではないと言っているようで嫌になる。
どうしてこんな事になったのだろう。
腕を掴まれ立たされる。
決して乱暴に扱わないのはあくまで「商品価値」が下がるのを防いでいるのだろう。
しかし決して逃げられないように手は後ろに親指同士を結束バンドで縛られた。
更に走って逃走できないようになのか、身体には紐を縛られ紐の先はガタイのいい男を持っておりまるで犬の気分だ。
全ての準備が整ったと思ったら、最後に目隠しまでされる始末。
「さ、行こうか」
「どこへ・・・?」
「もちろん、買い手様さ!いやあ運よく君に出会えて本当によかったよ・・・。」
「出会い?あれが?私の人生クソすぎでしょ、もう笑うしかないわ」
「はははははは!まだ運は残っているさ。買い手様はちょっと特殊な性癖な方でね、君のような綺麗な黒髪じゃないとだめだったんだよ。」
「何それ・・・こわ・・・」
ドアを抜け、長い道をゆっくりと歩かされる。
目隠しをしている私を気を遣っているのか、それとも売られる私を見て気を良くしたのか老人はよく喋る。
「あー、日本の"ヤマトナデシコ"だったかな、素直で従順な"少女"をご所望だ。君がいい子でいてくれれば痛い思いはしないよ・・・」
「あの・・・私もう成人してる上に社会人なんですけど・・・少女って誰の事ですか」
「・・・君、学生さんじゃないのかい?」
「ええ・・・もう社会の荒波にもまれてますけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・まあ君は中々童顔だし、大丈夫だろう」
「えっ、少女趣味の人に私が成人してるってバレたら死ぬのでは」
「さ、もうすぐ出発だ」
「いや、あの?」
そっと口枷と防音のイヤーマフをさせられ、そこで私の世界は閉ざされた。
ゆっくりを抱えられ、車のシートへと座らされた。
触り心地の良いシートから、今乗っている車が高級車である事がわかる。
私の両サイドに人が乗り込み、振動からしてドアが閉まったのだろう。
ああウェイド、さようなら。
私は変態くそ野郎の元に売られました。
人生の最後の日に、好きなのかよくわかんないけどいると楽しい関係の男が自分の部屋で他の女と盛ってて家出したら誘拐された挙句に変態クソ野郎に売られるとか私は前世にどんだけ罪深い事し
てきたんだよ。救いがない。
まあでももう・・・どうでもよくなってきた。
ウェイドからしたらただの都合がいいだけの友達かもしれないけどさ、私、あなたの事嫌いじゃなかったみたいよ。
人の部屋で盛るのはやめてほしいけど。それに関してはまだ許してない。
体にGがかかり、車が発進したのがわかった。
夢だと思いたいけどきっとこれは現実。
・・・ウェイド、私運悪いから多分無理だと思うけど・・・もし都合がつくなら私を助けてください。
「んじゃま今日はよろしくお願いしまーす。大丈夫、俺ちゃんこう見えてもトランスポーターは全作品見てきたからね!んで、どれが荷物?このオッサンども?」
「うるせえ」
フランク・マーティンよろしく、キメつつ車に乗るとそこには今俺ちゃんが探し求めている人物がいた。
「うっそ、まじで?もう運命感じちゃう」
「黙って仕事しろおしゃべりくそ傭兵」