鵜飼繋心
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
体育館に笛の音が響く。
「休憩ーーっ!全員しっかり水分とっとけよー!」
その日はバレー部の練習の日。
休憩中の部員にそれぞれの能力を伸ばすべく、個別に声をかけていく。
「――って事だ。次からそこを意識してみろ。次は・・・日向はどこだ」
「あっちっす」
影山が汗をふきながら答える。
視線を影山の指差す方へと向けると、休憩しろと言ったのにも関わらず日向はボールを触っていた。
離れたところで座りながらもボールを触る日向。
腕にボールを乗せながらも休憩するその姿に昔の記憶が蘇る。
「っ・・・日向!」
「おっす!・・・あ」
集中力が切れたせいか、腕からボールが落ちる。
「日向、その練習・・・どこで・・・」
「ああ、この間苗字さんに教わったんです!苗字さんも昔バレー部で」
「知ってる。俺あいつと同級生だからな」
「・・・ええええええ!!!?!?」
そんなに驚くような事だったろうか。
日向の叫び声が体育館に響く。
「苗字さん・・・もっと若いのかと」
「お前・・・まぁ歳の話は女にはするんじゃないぞ・・・」
「・・・う、うす・・・」
「で、だ・・・お前の今日の動きなんだが――」
+ + +
「お疲れっしたーーー!!」
その日の練習を終え、最後の点検もして体育館に鍵をかけた。
車に乗り込みポケットから携帯を取り出す。
日向の口から苗字の名前が出て動揺した。
練習中は集中していたが、終えた途端に気になりはじめる。
"連絡して"なんて言ってたが、何を連絡すればいいのか。
そもそも今更何を話せばいいのか。
「あーーーーくそっ」
がしがしと頭を乱雑に掻き毟りながら携帯をいじる。
そして俺は勢いで苗字にメッセージを送った。
暫く車内で画面を見ていたが既読にはならなかった。
ポケットに携帯をいれ、俺は車のエンジンをかけそのまま走り出した。
真っ直ぐ家に帰ればいいものの、何故かその日は遠回りをした。