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目が覚めた。
その日は何故だか寝つきが悪く、もう一度眠ろうとしても中々寝付けずにいた。
喉もからからに渇いている。
うーん、と軽く悩むが今はこの喉を潤したい。
寝巻きの上に軽くカーディガンを羽織り、水を求め部屋の外へと出た。
廊下に出るとそこは薄暗く、空気もどこかひんやりとするほど人気が無かった。
暗闇は普段からなれている。
お化けとかそういう類も知識としては知っている。
だが、お化けを"怖いもの"としての認識は未だによくわかっていない。
だからこうして一人で薄暗い廊下も歩けるのだろう。
底が平らなルームシューズのぺたぺたという音だけが廊下に響いていた。
ぼーっと寝起きの頭を働かせてみる。
そういえば食堂にある大きな冷蔵庫にエミヤ特製レモネードがあったのを思い出した。
そうだそれを飲もうと意気込みながら食堂へと入った。
既に明かりは消されており、中はシンと静まり返っていた。
薄暗い中、目的の冷蔵庫めざし歩いていると先程まで感じられなかった人の気配を感じた。
どこからかはわからない。
ただまちがいなく誰か"いる"。
足を止め、辺りを見渡した。
明かりもほぼない部屋だ、普通の目しか持たないなな子にはどこに潜んでいるのか検討もつかなかった。
「ここですよ」
「ひゃっ!」
どこからともなく声がした。背後だ。
驚き振り返るとふわりと煙草の匂いがし、目の前にはローブで顔を覆い隠した男が居た。
何時の間に背後に・・・と驚き戸惑っていると目の前の男はそっとローブをめくり顔を晒した。
薄暗い中でもしっかりと認識できた。
「あなたは・・・?」
「おや君も夜食組かい?それとも酒盛り?」
ローブの裏からもうひとり、金髪の青年が現れた。
一体どこに潜んでいたのか。
「私は、喉が渇いて・・・それで・・・あの」
「おっと、長居は危険だ。お嬢さんの目的のブツはなんだい?酒か?」
「ううん、エミヤさんのお手製のレモネードを」
「了解っと、じゃあ行きますか」
金髪の男はさっと冷蔵庫からレモネードを手にすると私の確認も何もかもがスルーし、ローブの男に抱えられるようにして連れ去られた。
私は一体どこへ行くのだろう。
あっという間に食堂を抜け、廊下も走りぬけ、足音も立てずに部屋へと連れられてきた。
部屋のドアが閉まり、ようやく足を床に下ろすことを許された。
「君もこれで共犯だ!」
「えぇ・・・?」
「ははは、まぁゆっくりしていきなよ」
ドサリと床に座りながら"戦利品"を並べ始める。
そこには確かになな子が欲していたエミヤ特製レモネードもあった。
いつの間にかグラスや皿などが出され、てきぱきと手を動かす二人についていけずただそこに座る事しかできずにいた。
手渡されたグラスにはレモネードが注がれ、ふたりの手にもグラスがあった。
「ロビンフッドだ、ロビンでいい」
「僕はビリーでいいよ」
「えと、苗字なな子です」
「じゃあ我らの出会いに」
「「かんぱーい」」
「・・・乾杯・・・?」
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出会いは突然に。
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