装備課の○○さん
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「《はい、装備課の苗字です。ご用件は?》」
「《愛のデリバリーやってる?》」
「《間違い電話ですか、切りますね》」
「《待った待った待った待った!》」
装備課の苗字さん
「《で、ご用件は?》」
「《用事がないとかけちゃダメなわけ?》」
「《こちらは公用の回線となっておりますので》」
「《じゃあ私用の回線教えてよ》」
問答無用でブツリと回線が切れた。
バトーはオフィスのソファでコーヒーを飲みながら装備課へ回線を飛ばしていた。
装備課の苗字なな子。
ガードが堅く、未だ誰も攻略できないと噂の難攻不落の女。
義体ではない生身で小柄だが均整の取れた体つき。
少女のような清楚さと時折見せる大人の色気のちぐはぐさが男たちを引き付け悩ませていた。
そして何より少女のように細くて綺麗な響きを持った声は署内でも癒しになっており、バトーのように用件がなくとも電話をする男が後を絶えない。
ソファの上の階段からトグサがコーヒーと新聞片手に降りてきた。
「旦那、また装備課に繋げてたの」
「そりゃあの声聞いたら仕事もやる気になるでしょ」
「まあ気持ちはわからいではないけど・・・」
コーヒーをテーブルに置き、新聞を読みはじめる。
ミーティングの時間までまだ余裕があった。
別に下心がある訳ではないが、こっそりと目の前の男に覚られないようにトグサも装備課へ回線を繋げていた。
「《はい、装備課の苗字です。ご用件は?》」
「《あー、あの九課のトグサです。最近うちのバトーの奴がそちらにご迷惑をおかけしてるみたいで・・・》」
「《ああ・・・九課の・・・》」
キリっとしたなな子の声がトグサの発言内容のせいか、さっきまでの声色とは変わりそっけない声になった。
呆れてると言ってもいい。
「《あのそれで《こちらは公用の回線となっておりますので、御用がある時のみお繋ぎ下さい。失礼致します》」
トグサの次の言葉を即座に覚ったなな子はスパっと切り捨てるように回線を切った。
「トグサ君嫌われてやんの」
「あっ何勝手に聞いてんだよ!」
「朝から騒がしいなお前ら。こっちは徹夜だってのに・・・」
二人がぎゃーぎゃー喋っていると階段上にイシカワの姿があった。
ゴキゴキと首を鳴らしながらゆっくりと階段を降り、少しは老体をいたわれってんだ、とボヤきながら空いてるソファへと腰を下ろした。
「お前らまだ苗字にお熱なのか?」
「そりゃ毎朝の癒しだからねえ!」
「お、俺はそんなつもりじゃ・・・!」
「お前らがどんなつもりだろうがな、苗字の仕事の邪魔してるって事は覚えとけ」
イシカワのお小言に不服そうに返事をする二人に、イシカワはため息をついた。
「なんだ、苗字の話か?」
そこへドーナツの箱を持ったボーマも現れた。
ニコニコと嬉しそうにシュガーがたっぷりついたドーナツを口に運んでいた。
「さっき装備課の前で苗字に会ったぞ。疲れてるようだったからドーナツを何個かあげたんだが・・・お前らが原因か」
ボーマもイシカワ同様呆れながら腰掛けた。
くだらない事を話しているうちにあっという間にミーティングの時間が近付いていたようでオフィスにはいつの間にか九課のメンバーが揃っていた。
「―――事あらば制圧、以上だ」
荒巻が事件の詳細を説明し終え、各々が自分のやるべき事に取り掛かるべく動く。
ピリッとした空気に似合わぬ可憐な声がオフィスに響く。
「あの、すいません。装備課の苗字ですが・・・サイトーさんいらっしゃいますか」
「あれ!なな子ちゃん!俺に会いに来てくれたのかな!」
「違います。サイトーさんにお届け物です。お仕事の邪魔をしないでいただけると幸いです」
なな子の声を聞くや否や、バトーは階段を駆け上りなな子の前に躍り出た。
バトーの顔を見たなな子は思わず表情を崩してしまったが、すぐさま仕事用の顔に戻り、可愛い声も少しだけキツくなる。
その後ろ、階段からゆっくりと片目義眼のサイトーが現れた。
「こっちだ」
「サイトーさん、お疲れ様です。こちらお預かりしていた精密狙撃ライフルです。弾はいつものようにケースに分けてあります」
「ああ、いつも助かる・・・ん、この特殊弾は?」
「申請書には記載がなかったのですが、以前もこちらを使っていたので勝手とは思いましたがご用意させていただきましたが・・・ご迷惑でしたら申し訳ありません」
「いや、助かる。いつも気を遣わせてすまんな」
「いえ、これが私の仕事なので」
長年連れ添った夫婦のような対応を目の前で見せ付けられたバトーはポカーンとそれを眺めるしか出来ずにいた。
はっと意識を取り戻し焦りながら口を開く。
「おおおおお前ら、付き合ってたのか!」
「「?」」
バトーの言葉に意味がわからないといった顔をする二人に離れた席からイシカワの笑い声が聞こえた。
「いえ、これが私の仕事ですが・・・?バトーさんも装備課のご利用方法はご存知でしょう?」
「俺は長距離任務の時に装備課から荷物を取り寄せてるからな」
なるほどとバトーが頷く。
「あっ、これからお仕事なんですよね。お邪魔をしてしまい申し訳ありません」
「バトーが邪魔をしただけだ、気にするな」
俺のせいかよ、とバトーはなな子とサイトーを交互に見る。
それもそうだと言わんばかりに頷き笑うなな子にポーカーフェイスのサイトーも笑う。
「あ、そうでした。今回の任務場所ですが治安があまりよくありませんので・・・ご無事でお帰り下さいますようお祈りしております・・・」
「あぁ」
身長差の関係でなな子がサイトーの目を見ようとするとどうしても上目遣いになってしまう。
それが意図してやっているのか、無意識なのか、どちらにせよ心臓に悪いなと思いつつサイトーは荷物を受け取り、いってくると一言残しオフィスを後にした。
未だ放心状態のバトーに軽く挨拶をし、なな子は自分の課に戻っていった。
取り残されたバトーは訳がわからないと嘆いてたとかなんとか。
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原作バトーさんっぽく
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