〈long〉クヴァールの瞳
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あの、本当にすいません・・・ですから、あの」
「―――!!!!」
立ち上がり何度も謝罪をするが、相手が何を叫んでいるかも認識できない。
(電脳が先程より酷くズキズキと痛む。)
なな子の電脳がポンコツになってしまったのかと思い、只困り果て謝罪を繰り返す事しかできずにいた。
「きゃっ!」
突然、利き手を掴まれ状況は一気に悪化した。
ぶつかった相手は下種な笑いを浮かべながら値踏みするようになな子を見た。
「謝罪は形で取ろうよ、な?わかるよな?」
「いっ、いや・・・やめてください・・・!」
「やめてくださいじゃなくてさ~・・・わか」
「おい」
低い ―耳心地のいい低さの― 男の声が遮った。
下種野郎の影から黒いシルエットが現れる。
今のなな子には誰でもいい、助けてもらえるのなら誰でも。
例え現れた男がチンピラまがいな服装センスで片目眼帯のどうあがいても目の前の下種野郎より更にヤバイ雰囲気のカタギじゃなさそうな男でも。
この際、利き手を解放してもらえるならなんでもいい。
(ああ、電脳が焼けそうに痛む。)
「んだよ、今いいとこなんですけどォ?」
「そうか、それは悪い事をしたな」
眼帯の男は言うが早いか、あっという間に下種野郎の腕を捻り上げていた。
なな子はただそれを眺める事しか出来ずにいた。
「どうする?このまま自慢の"
「ひっ・・・」
下種野郎はなな子の手を振りほどくように離すと、情けない顔をしながら走り出し消えて行った。
「おい、大丈夫か・・・?」
「あっ・・・だいじょ・・・ぅ」
男が話しかけてきた。
お礼を、お礼を言わなければと言葉を口にしていた筈だった。
が、言い終わる前に世界がぐにょりと歪んだ。
電脳の痛みがピークに達した。
男の声が遠くで聞こえる。
――こんな事ならやっぱり早退しておけばよかった。