〈long〉クヴァールの瞳
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
家に戻ってから数日。
職場から荷物と書類が届き、職を失った事を改めて実感していた。
「まー…………じか」
中々にショックを隠し切れず、素子からのアドバイスも頭から抜けてしまっていた。
届いた荷物をだらだらと片付け始める。
どうしてこんな事になったんだっけ…。
泣きそうになったが、涙がこぼれる所で電通がきた。
「《…サイトーさん…?》」
「《…泣いてるのか?》」
「《聞いてくれますか…あの、私…仕事、クビに…》」
「《クビ?》」
「《無断欠勤しっちゃったし、電脳も切ってたから連絡つかなかったせいで…ううう》」
「《あぁ…それは、気の毒にな…》」
「《サイトーさんはいいですね…公務員!安定した職!うう、無職という言葉の重み!》」
「《安定ねぇ…俺の仕事は安定とはまた違うと思うがな。それより、何か変わった事はないか》」
「《うーん…特に、家から出てないし…何も…っ?》…ううっ…?!」
目の奥が痛む。
それと同時にいつもの電脳の痛みも出てきた。
ズキンズキンと鈍い痛みと共に心拍数も上昇する。
「《どうした!おい!》」
「《い、いつもの…頭痛ですよ。大丈、夫…》」
サイトーに迷惑をかけたくなくて、そっと通信をオフにした。
しかしいつもと違い目がチカチカとしてきた。
「(や…ばいなあ…でも、サイトーさんに迷惑かけたくないし…)」
そこへドアのノック音が響いた。
「なな子、ちょっといいかな」
「お、お父…さん」
「っ、なな子!?どうした!」
「目が…頭も痛くて…っ」
「大丈夫か!なな子――」
父が来てくれたから、もう大丈夫。
その安心感からそっと意識を手放した。
+ + +
サイトーは悩んでいた。
先程のなな子の通信が引っかかていた。
本人の口から大丈夫だと言われ通信を切られた。
なな子の家の監視が今の任務で、パズと監視を続けている。
あれから数時間経ったが特に目立った変化もなければ異常もない。
…異常がない事に違和感を感じていた。
「珍しいな」
「何がだ」
「ポーカーフェイスのお前が落ち着きがないのがよくわかる」
「…そんなにか」
「笑っちまうくらいに」
「…」
「気になるのか」
「…さて、な」
日も暮れ、閑静な住宅街であるここは少ない街頭のみで薄暗い。
住宅にも明かりがともり、明かりのついていない家が目立つ。
そこでふと違和感に気づいた。
「パズ」
「どうした」
「家から誰も出ていないよな」
「……ああ、俺が見ていた限りな。出る人間も入る人間もいなかった」
「今家にいるのは…」
「父親である柘植と娘のなな子だけだな」
「なら何故この家は…明かりがつかないんだ?」
「……」
無言で二人は顔を見合わせ、緊張で顔が引き締まった。