〈long〉クヴァールの瞳
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肩になな子を担いだまま素子は九課へと戻った。
オフィスには行かず、真っ直ぐ特殊拘束部屋へと足早に進む。
部屋に入ると手早く解析用の椅子になな子を座らせ拘束した。
なな子の首には電脳錠が刺さっており暴れる事はなかった。
そこへ状況を簡単に把握したイシカワが入ってきた。
「少佐、対抗ユニットに身代わり防壁だ。バックアップは?」
「大丈夫よ」
素子はなな子の電脳に侵入すべく、手早く準備を整えそっと目を閉じダイブした。
+ + +
夢を見ているのだろうか。
何も見えない、何も感じない、呼吸だけは出来ている。
私は何をしたんだっけ。
思い出せない・・・頭が割れそうに痛い。
いつもの電脳の痛みのようだけど、比じゃない程痛い。
実際割れてるんじゃないかと思うほどに痛い。
苦しいなあ。
いつ、目が覚めるのかな・・・この夢。
「ぅ゛ぁ゛」
バチン、と頭に電流が流れたような気がした。
突然の衝撃に驚き、情けない掠れた声がなな子の耳に入った。
それが自分の声だと気づくのに数秒。
何も見えなかった目がぼんやりとだが機能し始めていた。
「――――」
なな子の目の前に人の形のようなものが見える。
目の前にいるはずなのに、まるで遠くで話をしているように感じた。
何を話しているのだろうと疑問に思いはじめた。
話の内容をもっと近くで聞こうと立ち上がりたくても体が動かない。
驚き戸惑ういつつも自分の置かれた状況を理解できる程度に脳が覚醒してきた。
「(動かないんじゃない、動けないんだ・・・)」
手足は椅子に固定され、椅子から立ち上がる事もできない状態だった。
視力もようやく回復し、状況把握すべくぐるりと部屋を見回した。
白い蛍光灯に全体的にモノトーンな部屋。
無駄な物はほとんどなく、あるのは今自分が座っている特殊な椅子と難しそうな機械にモニターが何個か。壁の一部が大きな鏡になっているが部屋の内容的に恐らくマジックミラーだろうと察した。
視点を動かせる範囲ではそれだけだった。
「――るか。聞こえているか」
返事をしようとしたがカラカラになった喉は咳き込む事しか出来なかった。
「今あなたはとある事件の重要参考人として我々公安九課で"保護"させてもらっている」
「(保護・・・これのどこが・・・保護なの・・・?)」
なな子は拘束されている手足を視線を動かし、目の前の声の主を睨み付けるように見た。
紫色のショートヘアにキリっとした目、肌は人形のように美しい人だった。
「手荒なマネをしてごめんなさいね・・・」
先程まで無表情だった女がふわりとなな子に微笑んだ。
「っ・・・げほ・・・じゃ・・・あ・・・早く、外して下さい」
「・・・それにはまず詳しく話を聞かせてもらう事になるけど、いいかしら・・・」
「何・・・しょ・・・何を・・・げほっ・・・お話・・・ればいいんです、か」
なな子が未だにうまくうごかせない口を拙いながらも動かし答えようと会話を続けた。
「・・・・・・あなた、何者?」