成人済みヒロイン。
とある日…
空欄の場合は「流畝舞美」になります
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ーマンション、舞美の寝室ー
…規則正しい寝息と、キーボードを叩く音、そして一人分を照らす明かり…
『……う〜ん、明る、い‥?』
…と寝息を立てていた人物が、眠そうな目を擦りながら、ゆっくりと体を起こす…
「失礼。起こしてしまいましたか?」
『……ふほーしんにゅうしゃ…?』
その言葉に、横目で彼女を見ていた茨が眼鏡を押し上げながら、怪訝そうに呟く…
「失敬ですね。貴女と自分の仲なら問題無いと思いましたが…」
完全に目が覚めていないのか、茨の言葉は受け流し、枕を抱き締めながら、舞美が不機嫌そうに呟く…
『…私には、残業するな。って言う癖に…』
「数分あれば、終わる作業なので。」
『だったら、尚の事、事務所で終わらせたら良かったのに…』
口を尖らせる舞美に、茨は笑顔で答える…
「えぇ、貴女に重要な書類を届けた後にそうしようと思っていましたよ。」
茨の言葉に舞美は首を傾げる。
『?…ならどうして?』
「書類を届けてお暇(おいとま)しようとした所、貴女様が自分の袖を掴んだまま、離して下さらなかったので、やむを得ず寝室まで送り届けていたら、時間が無くなってしまったんです。」
彼は依然、張り付いた笑顔のまま、反対に舞美の眉はどんどん下がっていく…
『…申し訳ありませんでした…。』
「……。冗談ですよ。風邪など引かれては困りますから、寝室までお送りしたのは、事実ですがね。必要な物も揃ってましたし、この方が自分も早いと判断したので、そうしたまです。ですからお気になさらず。……思いの外(ほか)、貴女様の無防備な姿のお陰で作業も捗りましたし…」
ぽつりと呟かれた言葉は、どうやら彼女には聞こえていないようで…
『…お詫びに、今日はこのまま泊まってって良いから、早く作業を終わらせて寝よ‥!』
今一度舞い戻ってきた眠気と、再び葛藤し始めた舞美は、茨の背に飛び付き言う…
「っと…!分かりましたから!いい子にして待っていて下さい?……全く御自分が何をしているか、理解していらっしゃるんでしょうかねぇ?」
『……すぅすぅ……』
その言葉もやはり彼女には届かず、茨の背に体を預けたまま規則正しい寝息を立てている…
「やれやれ…いつもこう素直でいて下さると自分も嬉しいのですが…」
そんな舞美に困ったように眉を下げる茨、しかしそれは一瞬の事で、次にはいつもの何かを企むかのような笑みを浮かべながら彼女をベットに戻し…
「…ま、良しとしましょう…一緒に寝ろ。と仰ったのは女王陛下です。ですからメンバーの皆様に、何を言われようとも、致し方有りません。これは仕方のない事なのです。」
明らかに仕方のない、と言う顔はしていない茨だが…作業を終えた彼は、眼鏡を外し、そのまま彼女が寝ているベットへ同じように寝転ぶ…
『…スースー…』
「…目が覚めた時には、どうせ今日の事など、覚えていないのでしょうね…」
どこかに寂しそうに苦笑を溢しながら、彼は舞美の頬を優しく撫でると額にキスをして、瞼を閉じた…
ー翌朝ー
『………う〜ん…‥ふぁ〜あ…』
何も知らない舞美が伸びをしながら、視線を落とし、硬直した…
「…スー…」
『何故に茨さん…?!私、何をした…?!』
当然困惑する舞美…それに気づいた茨が、目を擦りながら、眼鏡を掛け、欠伸をしながら起き上がる…
「…ふぁ…ふ……おはよう御座います。…いけませんね。…どうにも貴女様の前ですと、自分は気が緩む…気を付けなくては…。」
『………』
「…。取り敢えず、地味に傷つきますので、謎の戦闘態勢な構えを止めて戴いても?」
『…あ、すいません。』
「…やれやれ…」
やはり昨日の事は覚えていないか、と茨は落胆しながらも、それを面に出さず、着替えを済ませようとしたが、それは舞美の一言により、阻止された…
『……。言っておきますけど、素直じゃないのは、茨さんもですからね。』
「…は?」
『なんでもないです!シャワー浴びて来ます!』
「ちょっと待って下さい‥!今何と仰いました?」
すかさず彼女の腕を掴むが…
「あれ、茨?今日は早いね。何してるの?」
「舞美さーん!!僕が遊びに来てあげたよー!」
「おひいさんが勝手に来ただけで、呼ばれてはいませんけどね。」
凪砂達が入って来て、それと同時に、少々顔を赤らめながら舞美も、慌てて部屋から出て行ってしまった…
「……」
「ええと?」
「茨!僕達の舞美さんに何をしたの?!」
「…俺達の、かは、ちょっと分かんないですけどね。」
「…いえ、まだ、何も?まさにこれからしようとしてた所ですが…」
「隠さないんだね。最近茨が彼女の前では無理してないみたいだから、私も嬉しい。」
「正直な事は良い事だね!隠し事をされるよりも、そっちの方がよっぽど健全!」
「…健全、かどうかは分かんですけども…陰謀じみてるよりかは、全然良いっすよね。」
「茨、何があったか、教えてくれる?」
「素直な茨の話をたくさん聞きたいねぇ!」
「…へへっ、イジられる茨再び…」
…怒られる所か、にこにこしながら、楽しそうに近づいて来るメンバーに、茨は壮大に溜め息をつきながら…
「…これなら、お叱りを受けた方がよっぽどマシですね…」
ー素直じゃない、彼も好きですか?ー
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