成人済みヒロイン。
服よりも…?
空欄の場合は「流畝舞美」になります
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ーすれ違いの日々を得て、私と水鏡は恋仲になったー
『…ちょっと〜、もう少しきびきび歩けないの〜?』
「これでもきびきび歩いてるんだけどなぁ…」
『(…絶対嘘だ。と言うか何でそんなにキョロキョロしてるの…?)』
…不思議に思いながらも私は水鏡に似合うあまり浮かない着物以外の服を選ぶ為、お店へと向かっていた……というのも…
『…』
…さっきから道行く人がちらちらとこちらを見ているのが分かる。…そう、何故なら彼の基本的な服装は着流しだからだ。別に着流しが悪い訳じゃない…寧ろ良い。…が町中ではどうしても人の目を集めてしまう。…なにより、顔は良いから女子などは黄色い声を上げ騒ぎ立て、恋人である私としては実に面白くない…本人には、絶対調子に乗るから言わないけど。
「…」
『おわぁ…?!っ!ちょ、なに…?!』
そんな事をもんもんと考えてながら歩いていたら、突然水鏡に腕を引かれ、肩を抱かれる。
「…いや?ちょっと変な虫が付いてたもんで。」
『え!嘘…!どこ…?!』
「平気。もう追い返したから。」
『虫なのに、追い返すってなに…?!敬意?虫さんに対する敬意なの?!』
…聞いても彼は視線を逸らしてしまう…おかしいなぁ…回りにいる人から移ったとか…?…まぁ、良いか。
「つかまだ着かねぇの?」
『着きましたよー!ほら!入るよ!』
「へいへい…」
…どうにもふてぶてしい態度に眉が釣り上がる…もう…!自分で「舞美に決めて欲しい。」って言ったくせに…!…多少の不服さを感じながらもお目当ての洋服店に入る。
「…んん?…ちょー、空いてるんだけど、この店大丈夫なのか?」
…人がいない事に違和感を抱いた水鏡が言う…だから私はその問いありのままに答える…
『…当然でしょ?貸し切りなんだから。』
「は…?」
水鏡の時が一瞬止まる。…そんな変な事言った?私…
『何その反応…人がいたらじっくり選べないでしょ…!』
「…そりゃ、そうだけれども…」
…何故かまた視線を逸らし、首を指先でぽりぽり搔く水鏡…何なの?変なの。…まぁ後は私が誰にも見せたくないないから。ってのもある。これまた絶対に言うつもりないけど。…私は気を取り直して服を選び始める…
『…うーんと…どれからが良いかなぁ…(…顔は良いから、大抵は似合うと思うけど、先ずは何から着てもらおう。…人に色々着てもらうのは楽しいからね!私だけが見て良いのなら尚の事…!)』
「…でもさぁ…舞美。」
悩んでいれば、中腰の私の肩と腰に水鏡の手が後ろから艶めかしく絡みつく…
『っ!ちょっと水鏡…!』
「…それって俺とこの店では二人きりって事だよなぁ?…舞美。」
…耳元で低く囁かられる…この万年脳内煩悩が…!揺らぎそうになる心に何とか耐え…でも対策はちゃんと取ってるんだなぁ、これが…
「…これ、うちはお触り禁止じゃぞ、水鏡殿。」
ぱこんと細長く丸めた新聞紙で水鏡を軽く叩き諌める
「は…?!何処に潜んでた?!お前…!」
「潜むのは得意なんじゃよ〜、
「そんな事聞いてねぇし…!」
口元を愉しそうに笑いながら隠す紫…骨董屋と言う名の情報屋な彼は、色々な所に融通が利く…まぁ、白兪は更にその上を行くんだけど、一先ず一安心…
『ほら!観念して縛につく…!』
「お縄じゃ、お縄〜。」
「チッ…俺は下手人じゃねーぞ?」
…そんなこの三人に?しか通じない昔過ぎる冗談に愚痴愚痴と言いながらも、鏡の前に移動してくれる水鏡…
『さぁーて!先ずはぁ…』
…そうして私はわくわくしながら、水鏡に似合う服を選ぼうとしたのだけれども…!
「…大丈夫かや?舞美様や。」
…私はがっくしと床へ項垂れていた…後ろから紫が背中をさすってくれている…
『く…!完全に盲点だった…!まさかどの服も似合い過ぎて逆に選べないなんて…!!』
「気をしっかり持つんじゃ、舞美様や。」
『これじゃあ選びに来た意味がないじゃなーい!!』
「どうどう…」
…ヴィジュアル系や、ふんわりコーデ、日常系など、何を着せても似合ってしまう水鏡…始めの内は楽しくて、ついはしゃいでしまった私だが…思わぬ事態に今は更に床に項垂れ続ける私…当の本人は、ソファの上、優雅に脚を組み、カジュアルな服を纏いながらじーと私を見ている…
『…なによ、バカみたいって思ってるの?』
…何か悔しくて、ついそんな言葉が出てしまう…
む〜としながらも水鏡を見つめ返していると、とんでもない言葉が彼の口から飛び出した…
「いいや?…俺の為に色々悩んで決めようとしてくれている舞美が、可愛いな。と思って。」
…ふ、と優しく微笑みながら私を見つめ言う水鏡の言葉に、顔に熱が集まっていくのが分かる…
「おやおや…」
『な…!よ、よくそんな恥ずかしい台詞をさらっと言えるわね…ッ!』
…こっちの方が恥ずかしくなる…熱は引かないし…!…熱を抑え込もうと自分の手で両頬を押さえる私…するとその様子を見ていた紫が扇子で口元を覆いながら、ほくそ笑みながら言う…
「まぁ確かに…水鏡殿の気持ちは分からなくもないがな…」
「だろう…?」
『ちょっと!紫!裏切るの…?!』
「いやはやまさかとんでもない。じゃが、舞美様が可愛いらしいのは事実じゃからな。」
「だよなぁ…」
にこにこと両者微笑みながら、私を見つめる二人…この…!なに紫まで水鏡とタッグ?なんか組んじゃてるのよ…!話が違う…!
いたたまれなくなった私は…
『…それ以上言ったら、今後二人と口聞かないから…』
「「え…」」
…大人げないなー。とも思いつつ…
『…ぁ、試着した服は全部お買い上げで。』
と逃げるようにお店を出た…だっていたたまれなかったんだもの…恥ずかしくて…
「…やっぱ、可愛いわ。舞美は。」
「じゃのぉ。」
「…ありがとな。」
「どう致しまして、なのじゃ。」
…目を合わせた二人が互いの愛おしい者を思うように微笑み合う…
「じゃあな。(…あいつを一人で出歩かせると、また
「お買い上げ、誠にありがとう御座いました、なのじゃ。」
…嬉しそうに微笑みながら水鏡を見送る紫…彼等が、そんな事を話しているとは知らずに…
ー服よりも、お前が俺の為に目を輝かせて、喜んで楽しそうにしている様子の方がなによりも嬉しくて愛おしいー
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