成人済みヒロイン。
サイハテニミタキボウ
空欄の場合は「流畝舞美」になります
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ー目前に広がるは、
荒廃した世界ー
「…全てを無にして、満足した?…宿儺の嫁。舞美さんよ。」
…それを隣で見ている男が忌わし気にそう話す…
『…そうですね。…不思議と気持ちは、澄んでいます。』
瞬間隣の男が渇いた声で嘲笑する。
「は、この壊れた世界を見て澄んでるとか、どういう神経してるの?」
『…ふ…お言葉ですが、生憎私の心はとうの昔に壊されて下ります。ですので元々まともな神経はして下りません。…そもそも、まともな神経、と言うのは、何で御座いますか…?』
彼は前に出て、再び目の前の荒廃した世界を見て呟く…
「…正確な事は言えない。…ただこの壊れた世界を見て、少しでも残念がる様な人の事だよ。」
…私は、それを聞いて一瞬瞳を閉じる…
『…そうですか。…なら、もう私は無理ですね。そんな感情、とうに消えました。…寧ろ、これで全てが綺麗になったとさえ思っています。』
五条悟は首だけ私の方を見て更に言葉を繋ぐ…
「…そう宿儺に仕込まれたの?」
『いいえ。…物心がついた時からずっと、そう思っていました。…全てが消えてしまえば良いと、…』
「…勿体ないなー。残念だなー。」
あまり残念そうには見えないが、覗き込む様にちらちら私を見る…
『…理解出来ません。』
「…何が?」
飄々とした様子は瞬く間に消え失せ、じ…とその美しい蒼色の目で私を見据える…
『…何故貴方様はそこまで私に構うのですか?』
すると彼は視線を逸らさず、ニヤリと愉しそうに笑って…
「…君に好意を抱いているから。」
『!』
「…美人だし、強いし、側に置きたいんだよねぇー…。」
当たり前の様にさらりと言った……だからこの人間は苦手なのだ…当然の様に私にまで手を差し伸べる…
『…左様に御座いますか。物好きな御方ですね。』
「そう?けっこー見る目有ると思うけど?僕。」
…何処までが嘘で、何処までが本当なのか、本当に理解に苦しむ人…だからこそ、理解出来ない人物なのかも知れない…私には縁が無かった主流の人間だから…直後頭の中に響く音…嗚呼、宿儺様が呼んでいる…
『…可笑しな人。…目前のこの世界を作り出したのは私でもあるのに…それに、壊れてしまった世界で何が出来ると…?……失礼。宿儺様がお呼びなので…』
…私はそれ以上、彼と関われば戻りたくなくなると思い、足に力を込め、この場から去ろうとする…
「…ははっ、案外人の力って侮れないよ?…生き残った人間は、決して諦めない。」
『…そうですか。ならその方々のお手並み拝見ですね。…幾ら再生した所で、どうしようも無い人間は数多に出てくる…』
言いながら、私は空へ飛び立つ…そんな私を見上げ彼が言った…
「…僕は諦めないよ。舞美。君を、必ず宿儺から引き剥がす。」
『……。…期待しています。』
…次第に彼は見えなくなる…
『………』
…宙を舞いながら考える……
宿儺様に会う前までに、彼、五条悟と、出逢えてい
れば、何か私も、変わっていたのだろうか…
『……いいえ。』
…何も変わりはしない…
私のこの黒い感情を
覆せる者など誰一人いないのだから…
…そう、もう遅いのだ、全て……
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