成人済みヒロイン。
鐘が鳴る…
空欄の場合は「流畝舞美」になります
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ーさぁ、行動を起こせー
…安定した収入に生活、それが俺の目的だった…
…彼女に、出会う前は…
ーーーーー
『おはよう御座います。緑間君。』
「…。おはよう御座います。相変わらず、流畝さんの話し方って変わっていますね。…俺は貴女よりも年下、ですよ。」
俺が言えば、彼女は困った様な顔をして…
『いやいや…流石に上司様を呼び捨て、とかには出来ないので…』
…彼女、流畝舞美は、俺の先輩で仕事上のパートナーだ。…容姿端麗、仕事も出来る。うちの会社内では有名な人気のある人物だ。…最も俺にとってはそれだけではないが…
『…あ、そうだ。緑間君…突然何だけど、今日仕事が終わったら、飲みに行かない…?』
「…は…?」
…正直予想外過ぎた…つまりは、俺とは正反対の人物で接点など無い。会社の飲み会で…と言う程で彼女と何回か行った事はあるが、個人的にしかも彼女から…と言うのは今まで一度も無かったからだ。
『…凄い顔と声出すんだね。そんな緑間君、初めて見たよ…』
「…あ、いえ、…すみません。」
『ううん…そんなに意外、かな?…元々誘いたいとは前々から思っていたんだけど…』
ポツリと放たれた言葉に多少なりも期待してしまう自分がいるのが情けないと思う…
「…えと…」
『…やっぱり、駄目、かな…?』
「いえ。…願ったり叶ったりです…」
『え?』
「っ…!何でも有りません…!…俺で良ければ良いですよ。」
俺が言えば、彼女は花開くように笑って…
『ほんと?!ありがとう…!』
「…はい。」
隣でガッツポーズをする流畝先輩…これは、チャンスかも知れない…
ーーー
「…先輩。少し飲み過ぎでは?」
肩を貸しながら足元がおぼつかない彼女に言う…そこそこは楽しめたものの、何故か今日に限ってペースが早く、酔いつぶれてしまった為、急遽、俺が家までに送る事になってしまった…
『えへへ〜、ごめんねー。』
…普段は見せない彼女の表情に言葉、胸がざわつく…酔いが回っているせいか、いつもの凛々しい姿は無い。タクシーに乗り彼女のマンションまでは着いた。本来であれば、喜ぶ所だが、状況が状況の為、それ所では無い…今はとにかく彼女を休ませ無ければ…
「…部屋、何階ですか…?」
『…んー、31…2…』
ほぼ寝ながらに近い状態で彼女は言う…足取はまだおぼつかない…
「…流畝さん、もう少し耐えて下さいよ。」
『…う、ん…』
「…鍵、何処です?」
『…内側、の、小さいポケット…』
聞くと同時に鞄の中を探り出し、鍵を開け彼女と共に部屋に入る…
「…お邪魔します…。」
『…はーい…』
取り敢えず、彼女をソファーに座らせると、水を渡す…
「どうぞ。…少しは落ち着きました?」
『…う、ん。お陰様でねー…迷惑掛けちゃってごめんね。でも…ありがとう!』
「それは何よりです。ですけど、飲む量と早さには、注意した方が良いと思いますよ。」
俺が眼鏡をかけ直して言えば、彼女はバツが悪そうに…
『…あ、そう、だね…重ねてごめん。…自分から誘うのは初めてで、何話したら良いのか分からなかったし、緊張しちゃって…』
…見れば、彼女の頬に赤みを増した気がする…気の所為、だろうか…?それとも俺自身がそう思いたいのか…
「…そんな状況なのに、どうして俺を誘ってくれたんですか…?」
…確証が欲しいのか、意地の悪い聞き方をしてしまった。するとそれに構わず彼女はとても嬉しそうに笑いながら…
『…どうしても直接、緑間君に伝えたかったんだ。緑間君、今日誕生日でしょ?高尾君から聞いたの。…緑間君、生まれてきてくれて、ありがとう。緑間君に出会えて一緒に仕事出来て私、本当に嬉しい。』
…色々と気になる事はいくつかあるが、彼女が俺に向け笑いかけたその時、全てがどうでも良くなって、俺の中で、何か、が切れた。何か、とは言つつも、その感情に最早気付かないフリも分からないフリも意味を成さない…本来であれば、高尾をしばく所だが…生憎、この感情に気づかせてくれたのも、今この状況を作ったのもあいつだ…素直に感謝しておく。今それは後回しにするとして…
「…舞美さん…」
『え…』
半場衝動的に、邪魔な眼鏡を取り去って彼女の唇を奪った…通常であれば、彼女の事を名前で読んだりはしない…俺の中で音が鳴った気がした…何故かは分からないが鐘の音が…そして誰かが囁きかける…
ーさぁ、誰かに奪わる前に、行動を起こせー と…
「…そういう顔、俺以外には、見せないで下さい…」
『あ……なん…で…』
…彼女の頬は、もはや酔いのせいでは無いくらいに赤みを帯びていた…
「…俺は貴女の事が好きだからです。」
『っ…!』
…畳み掛けるように言った自分も悪いが、どうすれば良いのか分からない、と彼女は動きが右往左往している…
「…舞美さん…」
『ひゃ…!』
余計な考えを巡らせないよう、彼女の耳元で言う…
『…緑間、君が…緑間君じゃ、ないみたい…』
「…当然です。俺も男なので…そもそも、貴女の方が警戒心無さ過ぎる…」
『違う…!私は、緑間君だから、ここまでしたの…!』
「!……そう、ですか…」
…最早酔いなど覚めきった様子で、顔を真っ赤にしながら叫ぶ…この人は一体どれだけ俺を混乱させるつもりなのか…
『っ〜〜〜!!』
恥ずかしさの余り、俯いてしまった…気にせず彼女の顎を指で上げて至近距離で問い掛ける…
「…なら、より好都合です。先程の約束、守れますよね?舞美先輩?」
『っ!!………は、い…』
…これからが彼女と俺の始まりだ…
※※※後日※※※
「高尾。」
前方を歩くそいつを不本意ながらも止める。
「あれ?真ちゃんから話掛けてくるなんて、珍しいーじゃん!」
「五月蝿いのだよ。何も言わずにこれを受け取れ。」
そう言って無造作にドリンクを投げ渡す。
「え、ちょなになに?真ちゃんが何かくれるとか滅多に無いのに!さては何かあったな?!」
…何も言わずに、と言ったのにこいつは…
「…まぁ、一応は感謝するのだよ。高尾。」
「うぉ?!マジでか!あの真ちゃんが俺に感謝とか…はっ!もしかして舞美ちゃんと…何があったな?!教えろよ〜!!」
「えぇい!肩を組むな!触れるな!喧しい!」
…前よりも騒がしくなってしまったが…手に入れられたものの方が大きいので…良しとしよう…
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