成人済みヒロイン。
Edenと年明け
空欄の場合は「流畝舞美」になります
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ー某区内、雪がちらつく、銀色に染まった世界、やたらと目を惹く様々な髪色をした人物達が一か所に留まっているー
「皆様!新年初のお勤めご苦労様で有ります!」
「…うん。茨もお疲れ様。」
「お疲れさんです。」
「そう言う話は後ででいいから、早く暖かい所に行きたいねぇ〜!このままだと凍えてどうにかなってしまうね!」
「おひいさん、寸前まで、暖かい所で寛いでたじゃないですか。」
「もう外に出てしまったから、関係ないね!」
「はぁ…たくもぅー。」
「早く寮に戻ろうか。」
「確かに。殿下が風邪など召されては困りますからね…」
相変わらずの日和に対して、皆苦笑をこぼしながらも、寮へと歩みを進める…
と……
「?」
一人、足を止めた…
「凪砂君?どうしたんだい?寒いから早く寮に戻るね!」
「…何か、聴こえない?」
「「「?」」」
凪砂の言葉に皆が耳を澄ませ、辺りを見わたすと、薄明かりの公園の中、何かが動き回っている…
「何やってんすかね?」
「こんな寒い中、ご苦労な事だね!」
「閣下、関わらない方が賢明かと…。」
「…ううん。待って。この声…、」
『……♪〜〜』
「おや?」
「あれ?」
「どこかで聴いた事がある声だね…」
…彼等が目を凝らして見てみれば…
『……〜♪♪』
「…やっぱり。」
そこには、舞いながら歌を歌う舞美がいた…
『〜♪〜♪♪』
「最近出したばかりの曲ですね…」
「流石っすね〜、舞美さん。もう歌える様になってるんすか…」
「当然だね!彼女は一番の凪砂君のファンなんだから!」
「…何でおひいさんが偉そうにするんすかね…」
「僕は事実偉いから、仕方ないね!……でもー、どうせ歌うなら、舞美さん、暖かい所にすれば良いのに…そしたら僕等も参加出来るね!」
「…やれやれ、殿下はいつでも通常どうり、ですね。」
「ここにきて、いきなりキャラ変されても困りますけど…」
皆が様々な見解をする中、彼女を見ていた凪砂がふと呟く…
「…日和君、きっと、そう言う事じゃないんだと思う。」
「?」
「「「??」」」
「あの曲は、雪をモチーフにしているからね。…今この時に歌うからこそ、意味があるのだと思うよ。」
「…ん〜、言われてみれば…どこか舞美さん、楽しそうだね!」
「殿下、それはそうかも知れませんが…」
『♪〜♪♪♪』
雪舞う中、外灯に照らされスポットライトを浴びたかのように歌い踊る舞美…
「…綺麗だね…」
「…そしてとても幻想的だね!ステップもターンも完璧。流石は僕等が認めた舞美さんだね…!」
「凄いっすよね〜、俺等も気合入れてかないと‥!ってなります…!」
「…ですが、あのままですと……」
皆が彼女に見惚れていれば、彼女がくしゃみをして、次に苦笑を溢しながら身震いするものだから…
「あ…」
「大変…!」
「見惚れている場合じゃなかったっす!」
「…言わんこっちゃない…
」
慌てて彼女の元に向かう彼等…
『……流石に、ちょっと肌寒かったかな…』
「ちょっと、所か、かなり、ですよ?…舞美さん。体調管理は、しっかりして戴きませんと、貴女に倒れられると、こちらにも支障をきたします。」
『…茨さん……』
「怒らないであげて?茨、そのお陰で私達は、最上の歌声を聴けたのだから…」
『っ…』
頬を赤くする舞美を後目に、凪砂は、そっと自分の着ていたコートを羽織らせる。
『ありがとう、御座います…凪砂さん…』
「ですけどねぇ…!」
「凪先輩の言う通りっすよ〜、茨。」
「僕には全てお見通しだよ!茨!茨は茨なりに心配をしているんだよね!」
きらきらした表情をしながら、日和が言えば…反対に茨はそっぽを向き…
「…ビジネスライク、ですよ。」
「んもー、相変わらず、茨は素直じゃないね!」
「良いじゃないですか。昔に比べたら茨も丸くなった方ですよ?」
「誰が…!」
「ふふ、そうだね。茨も、舞美さんの前では、多少なり、素直になれるようになったみたいだからね。…距離が近すぎて、少し羨ましいくらいだけど…」
『…そうなんです?』
「…。おかしいですねぇ?こう言う立ち位置は自分ではなく、ジュンの役割では?」
「へへ、いーじゃないですか、茨。たまにはイジられる側の気持ちも味わってみれば、新しい発見があるかもですよ〜?」
「…後で覚えておけよ。ジュン。」
「怖っ!」
『ふふ、茨さんが可愛くなってる…』
「そうだね、楽しそうで何よりだよ。」
「誰のせいだと思って…!」
「さーさー!積もる話は後にするね!今日は気分も良いし、折角皆いるのだから、ご馳走しちゃうね!」
「おー。流石おひいさん。太っ腹ー。」
「もっと褒めるといいね!茨!そうと決まれば、拗ねていないで車を早く用意するね!」
「拗ねてなどいませんよ。イラッとはしますが……はぁ…分かりました。全く…」
今の扱いは不本意の様だが、どの道、打ち上げはするようだったらしく、茨は直ぐにお抱え運転手に連絡する…
「皆で楽しく新年のお祝いをしようね!」
「舞美さんも含めて皆揃うの、久々ですからね〜。派手に騒いじまいましょう。」
皆が車が止まる場所に向かって歩き出す…
「…行こうか。舞美さん。」
『あ、えと、はい…!』
それに続いて凪砂も舞美に手を伸ばし、後を追おうとして踏み出せば…
『あ、あの!凪砂さん!』
「?…どうしたの?あ、ごめんね、もしかして強く引っ張り過ぎちゃったかな?」
『いえ、そうではなくて…その、今年も、宜しくお願いしますね。』
遠慮がちに言われて、凪砂は優しく穏やかに微笑んで…
「うん。今年も宜しくね。舞美さん。」
何とも和やかな空気が流れたかと思いきや……
「あー!!凪砂君、狡いね!僕だって舞美さんに挨拶をしたいね!」
「声が大きいですよ。おひーさん。」
「ほらほら、車を待たせているのですから、閣下も舞美さんも早く乗って下さい。取り敢えず、人目が気にならない所へ移動しますよ。話はそれからです。」
ーそうして、一年が終わり、また一年が始まる、大好きな人達に囲まれて、終わりも始まりもー
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