成人済みヒロイン。
無自覚な甘えん坊…?
空欄の場合は「流畝舞美」になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーまだまだ昼は暑さが残るものの、段々と秋らしい季節になってきたある日ー
ー舞美のマンション リビングー
『ふふ、エカテは本当に気まぐれな甘えん坊さんね。』
…資料に目を通しながら微笑み、膝の上のエカテを撫でる舞美…
「…」
それを読んでいる本の間から、じーと見つめる凪砂…
『…あら、ご満足戴けました?』
下顎を撫でながらくすくすとあやすように言えば、エカテはニャーと鳴いて満足したように、彼女の膝から下りてご機嫌にその場を去って行く…
『ふふふ、満足して戴けたようで、何よりです。』
言いながら去って行くエカテにふわりと微笑むと、髪を耳に掛け、また資料に目を通し始める…
すると、再び彼女の手に柔らかな毛の感触がして…
『んー…?今度はアンジェラかなー?』
返事は無い…いつもなら、ワンと可愛らしく返事をしてくれるのに…とチラリ膝の上を見れば…
彼女は一瞬時が止まり、もう一度ゆっくりと膝の上を見た。
『…凪、砂さん…?何してるんです?』
琥珀色と目があい、その目は穏やかに微笑む…
「…駄目だった…?」
『駄目、では無いですけど急にどうして?…とはなってます。』
撫でていた手が止まっている舞美に凪砂は困ったように言葉を続ける…
「ごめんね。困らせるつもりは…ただ、貴女が、彼女(エカテ)を撫でてる所を見ていたら、私も羨ましくなって、撫でてもらいたいな。って思って…」
『…そう言う事でしたか。お安い御用ですよ。』
柔らかく微笑むと、舞美は手の動きを再開して、凪砂のふわふわの髪越しに頭を撫で始める…
「♪」
彼はとてもご機嫌なようだ…心が通いあっている証か、たまにこう言う子供のような姿を見せてくれる…
しかし今回はそんな凪砂が可愛らしく見えて、ついつい悪戯心が働いてしまい…思わず…
『…寂しかったですか…?』
と口に出してしまう…すると凪砂は拗ねたように…
「ん?…そう、だね。寂しかったかな…だって舞美さん、全然私に構ってくれないから…」
とは言え目を閉じて、気持ち良さそうに身を任せたまま…言葉と行動は全くあっていない…
『…書類に目を通さなきゃいけない。とは、事前に伝えておいたと思いますけど…』
「…それは、そうだけど…」
そこまで言うと、凪砂はふいと舞美に背を向ける態勢になってしまう…必然的に彼女の手の動きも止まる…
『凪砂さん?…拗ねちゃいました…?』
「別に。」
表情は分からない…口調もいつもと変わらない…しかし、彼女には、分かる。…今、間違いなく不機嫌になった事が…
『…困りましたね。これでは撫でられません…』
「…」
…やり過ぎでしまったかも知れない…今度は舞美が困ったような顔をして…
『…凪砂さん、此方を向いて下さいませんか…?』
そっと、後ろから頬に触れる。すると困った様子が伝わったのか、ゆっくりと凪砂は、舞美の方を向いた…
それと同時に、彼女は再び髪を耳に掛けたかと思うと、そのまま彼の口を塞ぐ…
「!」
目を見開き、驚く凪砂に、申し訳無さそうに…
『…これで、許して戴けませんか…?』
彼女が言えば、見開かれた目は、一瞬にして妖しく細られ、反転する世界…
『え…ちょっ、と…!ですから私はまだ資料に目を通さないといけない訳で…!』
「…足りない……」
動揺する舞美に構う事もなく、彼は彼女の手を取ると、その指先を自分の唇に押し当て、喰む…そして妖艶な笑みを浮かべながら…
「…構ってくれるんでしょう…?」
『あ…』
先程までの可愛らしい面影は全く無く…
「…たくさん、可愛がってね…?」
琥珀色の目を光らせ、愉しそうに笑う…そんな凪砂を見て、あぁ、今日はもう、資料に目を通す事は出来ないと悟ったのであった…
ーー夜はまだ長いーー
1/1ページ