第4訓 猫の昔話
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夕刻
由羅「総悟ー、用意できたか?」
沖「あい」
先程言った通り、夕方過ぎにはお互い支度を済ませていた。
由羅「何か食いてぇもんねぇの、好きなモンとか」
沖「旨いもん」
由羅「具体的に...」
沖「公式設定でさァ」
由羅「...」
沖「もうここでも宴会の時飲んでやすけど未成年が公式設定で酒好きでさァ」
由羅「ヤメテ...モウヤメテ...!未成年のポリスが飲酒はダメダヨォ...!普通にオリジ設定の居酒屋どっかいこ」
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結局本当にどこかも知らない場所へ着き向かい合わせに座る。
割と静かな場所で悪くはないと思う。
頼んだ飲み物や食べ物を口にしながら由羅はため息をついた。
由羅「はぁ、あんな手とはいえ負けるとはなぁ」
沖「その時に勝てる方法を考えただけでィ、大人しく負けを認めてくだせェ」
由羅「はぁい...にしても頼みごとにこんなこと頼まなくてもいつでも飯くらい連れてくのに」
沖「俺はまだ何も頼んじゃいねぇですぜ。由羅さんが予定を聞いてきたからこうなっただけでさぁ」
由羅「え゛」
確かに言われてみればそうである。
言い返す言葉もなく納得をせざるを得なかった。
沖「俺が頼みてェのは由羅さん、アンタの自己紹介でさァ」
含みのある問いかけに由羅は思わず目を下に向けた。
由羅「...##NAME2## 由羅。三十路にはなっていない、総悟くんとは身長が10cmくらい差があるかな!血液がt」
沖「俺が頼みてェのは由羅さん、アンタの自己紹介でさァ」
由羅「こわ...」
ドス黒いオーラを醸し出した沖田に縮こまる。
沖「俺のことはぐらかしたり、話逸らしたり、まぁ言わねェってなら他に頼みごとしやすが」
由羅「んん...」
沖「...あんまり疑いたくないんでさァ」
初めて素直に心を口にした沖田に由羅が唇を軽く噛んだ。
...言えない。
さすがに真選組には体質について調べ物があって入隊したなんてことは言えない。
そうなると松平に近づき、真選組へ入りやすいようにしてきた事まですべて無くなる。
それにこんなことは誰一人として言ったことがない。
知っているとすれば紫や鬼兵隊の者達だけだろう。
そんなこと言ったら殺される...それに俺にはそんな意思はあまりないし以前高杉と会ったことで鬼兵隊から真選組を守らねばとすら思い始めている。
そしてそれは近藤をはじめ、土方や沖田達と出会い確信付いてきている。
由羅「...疑われて仕方ないんだけど。てかぶち殺そうとしないで欲しいんだけど、なんて言ったらいいのかな。こんな事言ったらダメなんだけど、今は市民守るってより真選組を守りたい」
沖「何から?」
由羅「...色々」
沖「...っはぁ~!答えになっちゃいねェ。まぁいいでさァ、他に頼みでも考えておきやす」
由羅「ごめん...」
沖「そんな顔させてェ訳じゃないですよ、そんなしみったれた顔するくれェならアヘ顔でもしてて下せェ」
由羅「アヘ顔しながら謝るとか完全にキマってるだろ」
気を使わせて申し訳ない、と思うがこれ以上謝ると更に沖田の不満を爆発させてしまいそうなのでやめておく事にする。
沖「そういえば由羅さん、一人っ子ですかィ?」
由羅「んや、兄貴と妹が2人いるけど地球には来た事もねぇよ」
沖「結構な大家族じゃねぇかィ」
由羅「まぁね、妹2人に関してはわがままで手を焼いたけど」
突拍子もないが話を変えようと沖田なりの気遣いだろう。
由羅「総悟は?」
沖「姉上が一人...いやした」
少し寂しげになる表情。
もうこの世にはいないのだろうと由羅は察する。
由羅「そっかぁ...良い人だった?」
沖「会って欲しかった」
由羅「俺も総悟の姉貴がどんな人か見てみたいもんだ、ドSそうだし」
と笑うと沖田はみたこともないような顔で優しそうに笑うもんだから、驚いて本当に好きだったんだろうと勝手に悲しくなった。
沖「頼み事、決まりやした」
由羅「ん?」
沖「普通に今から飲むんで俺の戯言(タワゴト)だと思って話聞いて下せェ」
由羅「お、おぅ...個室選んで良かったわ」
(*未成年飲酒を推奨しているわけではございません)
そこからポツリポツリと沖田は子供の頃の話や真選組ができた過程、土方との馴れ初め、いろいろな事をきいた。
こんなに話す沖田は初めて見るが、戯言だと思って聞いてくれというあたり明日からはその事について触れられたくもないし話すなという事だろう。
1時間ほどあれやこれやと酒を飲みながら話を聞いているとコクリ、とたまに沖田の頭が揺れはじめ酔っているのだろうと水を頼む。
由羅自身も酔っていない訳ではないがやはり年齢の差もあり飲める量が違うのだろう。
由羅「大丈夫か?帰るか?」
沖「すいやせん、酔ってるのは分かってるんですけど話したいのはここからでさァ」
由羅「ん、聞く」
そういうと沖田はまた話始める。
沖「姉上と土方コノヤローは誰がどうみても両片思いでした。認めたくねェけど」
由羅「あの土方がねぇ...」
好きなくせに、強がってたくせに。
振ったくせに最後は一丁前に姉を守ろうと敵と戦って、むかつく、だの死ねだの愚痴が多いが話し続ける沖田に相槌を打つ。
沖「姉上、病気で先にいっちまったんです」
由羅「...ん」
沖「俺、姉上に頭撫でられるの好きでした」
寂しげにそう紡ぐ沖田の頭を思わず撫でる。
幼くして身内を亡くすのは辛いだろう。
由羅「俺姉貴にはなれないし、血のつながりもないし信用もされてないだろうけどそうやって話せる相手にはなれるよ」
すると沖田は笑う。
沖「姉上の手はそんなにゴツくないでさァ」
由羅「それはどうしようもねぇわ」
沖「...土方さんと随分仲良いですねィ」
由羅「そうか?まぁ部屋隣だし書類渡しにいったりタバコぱくったりしには行くけど」
沖「俺よりあのクソやろうの方がアンタの事色々知ってるんでしょ」
年相応にむすっといじける顔は初めて見る。