第4訓 猫の昔話
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由羅「真選組一腕がたつって聞いてるよ」
沖「さっきまでの戦い方見て大体分かりやした。そのくらいのハンデは良いですよねィ?」
由羅「いいよ、じゃあ近藤さん合図よろしく」
その場が、静寂に包まれた。
誰もが見てみたいのだろう、二人の戦いを。
真選組一強いと謳われている沖田と、自分が手も足も出なかった由羅。
近藤「用意、」
皆の視線が二人に集まる。
合図をする近藤ですら緊張を感じる。
近「はじめ!」
由羅「...」
沖「...」
由羅はだらしなく突っ立っており、沖田は少し腰を低くした状態で構えている。
由羅「総悟なら先手でボコスカくると思ったのに」
沖「始めた頃から由羅さんがはじめに攻撃仕掛けてんの見てないんでねィ」
由羅「...そうか、今まで攻撃を見て指摘してたけどお前にそれはいらないか。なら、」
左足をすっと下げると由羅は分かりやすいように攻撃をしかける体制に入る。
沖「...馬鹿にしてるんですかィ」
由羅「いんや、全く」
にやりと笑った瞬間、由羅はしゃがみ込んだ。
と、同時に前へ走り出す。
沖「!」
気付けば目の前に由羅がおり、右足を狙った攻撃。
それをジャンプして上へ避けると素早く左頭上から竹刀が振り下ろされる。
まだ着地していない為沖田は竹刀でそれを受け止める。
ずっと観察していた沖田だからこそ分かった事がある。
由羅の攻撃は一度始まると止むことを知らない。
そうなると、竹刀を使って防御に回ることはあまり得策ではないと気付いた。
竹刀を振り払うと、由羅は更に着地したばかりの足元を狙い竹刀ではなく、姿勢を下げ片足を伸ばし回し蹴りをしかける。
沖「っ、」
ギリギリながらも後ろへ一歩下がり避けると攻撃をしなければ、と竹刀を力強く握り腹部をめがけ一振り。
由羅は振られた方向と同じように動き、沖田の後ろへ周るが背後をとられまいと咄嗟に振った竹刀の勢いを利用しながら由羅がいる方向へ上から下へと振り下ろす。
由羅「おぉ」
驚いたフリを見せながらも難なく避けられた事に余裕が目に見える。
「す、すげぇ...!」
「あそこの空間だけ早送りされてね?」
ひそひそと話す隊士達は素直に感心しているようだ。
由羅「さすが」
沖「余裕じゃねぇですかィ、その乱猫とやらの力一個も出してねェでしょ」
由羅「だって一応稽古だし...」
話しながら沖田の仕掛ける攻撃を全て避けていく。
体の動きを使うのみで由羅はまだ一度も竹刀で攻撃を防いだ事はないようだ。
由羅「てか総悟も本気じゃないでしょ」
沖「由羅さんが本気でやらねェからでさァ」
由羅「そう、なら」
ガキィン、と竹刀ではならないような音が鳴り響く。
由羅が攻撃をし、沖田がそれを防いだ。
由羅「力比べしようか」
沖「望むところでさァ!」
ミシミシと竹刀同士が音を立てる。
沖田は負けまいと腕にグッと力を込めて上から重圧に耐える。
由羅も少し力を込め、片手でしか持っていなかった竹刀を両手で持ち、力を入れる。
由羅「...素直に言うけど強いな」
沖「よく言いやすぜチート野郎」
由羅「おま、自虐はするけど周りは気使って行ってこなかった事を」
沖「そんなチート、俺がぶっ壊してやらァ」
沖田の腕に力がこもり、由羅の竹刀が少し持ち上がる。
まだ力は発揮していないが、以前土方と吉原へ行った時よりも力を込めているはずだ。
由羅「(若いのにこれとはとんだ化け物だな...)」
更に沖田の力が強くなり由羅はいよいよ力を弱めたら押し負ける、と加減をするのをやめる。
ギリ、と沖田は歯を噛みしめ負けじと押し返す。
ほんの少し、力を出してみようか。と由羅は少しチートと言われる力を出した。
沖「っ!」
由羅「...!」
だが由羅の竹刀は少し押し返された。
沖「んなもんですかィ!」
冷や汗をかきながらもしたり顔を浮かべる沖田。
きっと力を出したのは伝わっているのだろう。
由羅「...いいねぇ」
更にグングンと力を込めるが沖田の腕はそれ以上下がる事をしない。