第4訓 猫の昔話
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体の衰弱はなくなり、紫は解放されてからかなり時間がたっただろうが俺はものの二日で回復が見込まれすぐに戦場へ駆り出されることになった。
渡された薬をジーっと見つめ、意を決して飲み込んだ。
由羅「ッ゛ァ゛...!!」
覚えのある痛みが体を駆け巡った。
なんの痛みなのかあの時は朦朧として分からなかったがこの痛みは神経が伸縮されている痛みだ。
紫が心配になり自分が倒れ込みながらも視線をやると紫もそう思っていたのだろう。
同じ姿勢で俺のことを見ていた。
痛みで顔が歪むのに笑ってしまった。
だっておかしいだろう。お互い痛みに耐えながら変な顔して見つめあってるんだぞ。
変な顔で笑う俺を見て紫も冷や汗をかきながら笑っていた。
痛みが収まり、ゼェハァと二人で息を整える。
戦場の幕開け、と言わんばかりに大勢の天人達と走った。
隙を見て紫に目配せし、群れから離れた。
ピピ、と耳の通信機がなる。
「おい、変なことしたらこのGPSが耳元でドカンだぞ」
由羅「へーへー、分かってます」
小型GPS、しかも耳には力が制御される針が入っているらしい。
時代のおかげか、このちっこいGPS制御針つき、しかも小型爆弾も入っているのに動画までは回せなかったらしい。
音声だけのやりとりだが、常に自分がどこにいて何を話しているのか筒抜けだった。
俺たちは声を出さずに瓦礫の下にいる人間達を助けたり、天人の倉庫に備蓄された食料を持って人間に分け与えた。
地球人に味方をするつもりもなかったが、天人がこの戦争に勝つのが嫌だった。
紫と手を組んで天人達にバレないようにするのは大変だったが、それでも何か小さなことでも抗いたかったのだ。
(これは銀時には言えないが、その時に松陽と出会ったんだ。
いつぞや見た人間だった。
「...人を、助けているのですか?」
慌てて二人でシーーッ、とするとその人は優しく笑って去って行った。
この時の出会いがとてつもなく大きいんだけど
俺たちの事情を知った地球人がってことにしておこう)
そんな行動を見た地球人がいた。
人間を助ける行動を見て驚きが隠せなかったらしい。
俺たちの音声が筒抜けなのを分かって言葉を発さないままやりとりをした。
俺たちは目配せや土に刀をたてて会話していたがその人は髪とペンで会話してくれた。
不安がる俺たちの顔を見ては優しく笑い頭を撫でてくれた。
恥ずかしくて振り払おうとも思ったが、安心する暖かさにむず痒さを感じながらも頭を撫でられるのが大好きだった。
その人から色んな地球人に出会った。
人間の暖かさを知ったんだ、そのたった1つの出会いがまた俺たちの意思を強くした。
抜け出そう、と。