第4訓 猫の昔話
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こんな痛みを紫にも与えられるのか。
痛みの中でふとそんなことを考える。
やけに痛みが酷い頭蓋骨と尾骶骨が再び由羅の意識を失わせた。
もしかしたら、紫はもう既にこれをくらって再び意識を失っていたのだろうか。
地獄はまだまだ終わらなかった。
一度虚な意識の中で天人のニヤニヤした顔を見たことがあった。
意図的にこの痛みを引き起こされているのだろう。
殺したい、殺したい。
開放してくれ。
意識を取り戻すと、再びあの燃えるような痛みが全身を這う。
死ぬ、痛い、死んでしまう、そんな事を考えながらも頑丈な体はそれを許してはくれなかった。
日にちの感覚が全くなかった。
もうやめてくれ、もう反逆なんてしない、強く決心したはずの気持ちですら揺らいでくる頃だった。
紫の心配をし、目を覚ました瞬間に紫を見た。
由羅「...っ!っ゛!!ン゛!ンン゛!!」
なくなっていた。
乱猫の象徴である耳と尻尾が。
それにだいぶ痩せ細っている。
どう言う事だ、地球人になったのか、そんな事が可能なのか?
...いや、そもそも生きているのか?
伝えたいが口枷が邪魔でなにも伝えることができない。
じわり、とここに来てから初めて涙が浮かんだ。
俺が、俺が反逆しようなんて言ったから。
涙がこぼれそうになった頃、物音がした。
「おお、良かった。こっちの緑の奴は成功してるぞ」
一人、丸腰だ。抜けれればすぐ殺れる。
由羅「っ、ン゛!ン゛ン゛ン゛!」
「ちっ、しぶといガキだな。こいつを見習ったらどうだ」
どう言う事だ、と唸る前に口枷が外された。
悪態よりも先に久々に開放された口からは紫を心配する言葉が出た。
由羅「しっ、ば..!いきて、んの、か!」
数日ぶりに発せられた声はうまく喉を通る事は無かったが伝わったらしい。
「あまりにもおいたが過ぎたからな。こちらで力を制御させてもらったよ、お前も早く順応するこったな」
由羅「ど、ゆ意味だ、このクソゃろ!」
と暴言を吐くと怖い怖い、とまた口枷をつけられた。
紫「...あ゛?」
突如紫が起き上がった。
拘束具は外されており、視線が由羅を捉えた瞬間天人に飛びかかった。
そうだ、一人だ、殺ってしまえ。そう思ったが紫はあっけなく叩かれ、勢いよく壁にぶつかった。
紫「ゔっ、」
「はっ、今のお前は人間の餓鬼以下だぞ」
紫「ッ゛!なんだよコレ!由羅、大丈夫か!?」
耳と尻尾が消えている事を伝えたいが喉からくぐもった声しか出ない。
「乱猫の力を抑える薬を作ったんだ、力を解放する薬は我々しか持っていない。従順になることだな」
壁にあるボタンを押すとまたもや死にたくなるような絶望が体を駆け巡った。
由羅「~~~ッ゛!!」
紫「由羅!由羅!!やめろクソ天人!!」
再び飛びかかるがまたもや軽く叩き落とされる。
紫「クソッ...!クソが...!!」
痛みが全身を駆け巡る中、意識を手放す手前暴れる紫が連れて行かれるのを見た。
やめてくれ、やめてくれ...
そう思いながら再び眠りについた。
何度か一人で痛みに耐える日々を送り、目を覚ますと横で紫が泣いていた。
紫「おいっ、由羅っ...お前もなっちまったのかよ...!」
紫の涙を拭いたくて手を動そうとすると自由になっている自分の体に気づいた。
意識が朦朧とする。
頭が割れそうだ。
由羅「ど、ゅこと...おまえ、だいじょ、だったの、か」
紫「俺が解放されてから2週間たった...」
由羅「え...」
紫「俺が言われたのは、もう本来の力を出せるのは天人共が作った薬を飲まなきゃいけねぇらしい...」
以前紫の姿を見て由羅は瞬時に回らない頭で理解した。
由羅「...ごめん、紫」
もう、そんなことはどうでもいい。
紫にあんな事持ちかけなければ良かった。
自分一人でこの作戦を立てればよかった。