第3訓 猫の戦友
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チッ、と紫は舌打ちをし酒をどんどん注いでいく。
由羅も苛立ちを隠せなくなって酒を飲んでしまっていた。
紫「お前、まだあの夜叉の事あーだこーだ思ってるのかよ」
由羅「...っ」
つかれてほしくなかった言葉を言われ、由羅は体をピクリと反応させた。
が、それが悪かったらしい。
紫「はっ、お前な...」
一際低くなった声。
由羅「無理だってば...」
視線を下げ気まずそうに答える。
苛立ったり、罪悪感を刺激されたりで由羅の心は揺れ動いていた。
あぁ、聞きたくない。
だからこいつとは会いたくなかったんだーー
紫「おめぇの事なんざあいつは一ミリたりとも覚えてねぇんだぞ!」
由羅「ッ!やめろよ!あいつが悪いんじゃねぇだろ!」
思わず声が大きくなった。
酒の力も少しはあるが、由羅が怒りという感情をストレートに言葉にするのは珍しい。
紫「ハァ?俺だってまさかこの時期に俺から万事屋なんざあてにすると思ってなかったわ、無駄足だと思いつつもあいつんとこ行ったら何もねぇみてえで安心したわ。
でもそう思ったのはたった数日だった、あの餓鬼攫えば由羅は釣れた。どういう事だよ、なぁ?」
由羅「...会って、そのまま銀時のなんでもねぇ様な奴になりたかっただけだっつの!あいつは悪くねぇし神楽も返してくれよ」
紫「そうだな、あいつは何も悪くねぇからもう会うのはやめるっつったのはどこのどいつだよ?しかもあんだけ執着しといて本当に何もなかったのかよ?」
由羅「...ない」
つまる言葉。
もう酒は底をつきようとしていた。
放った嘘を隠すために由羅はまた一口、酒を飲んだ。
紫「お前、俺にだけはッッントに嘘つくのがド下手だな」
ドス黒いオーラを放つ紫に、負けず嫌いの由羅は思わず挑発してしまった。
由羅「おめぇだって、何年俺に執着してんだっつの」
紫「あ?」
力では勝てない、と頭では分かっている紫。
苛立ちをどこにぶつけて良いか分からずとっさに動いてしまった手。
由羅「んぶっ!?」
紫「...あ」
気づけばそばに置かれていた水を由羅目掛けてぶっかけていた。
由羅「お、おまえ...」
ポタポタと髪から水を落としながら自分を睨む姿はやけに欲情的で。
水をぶっかけた本人が驚いている様子を見ると爆発してしまったのは見て取れる、が。
紫「...俺は悪くねぇ」
由羅「いや悪い」
気付けば先ほどまでの暗いオーラはなくなっており、紫は膝をついてそっぽを向いた。
由羅「っ紫は本当に感情をコントロールできねぇ大馬鹿やろうだな!」
紫「っるせぇ!てめぇもだろうがよ!由羅のくせに挑発してんじゃねぇぞ!」
由羅「お、ま、え!だけには言われたかねぇわ!まぁ力で勝てねぇの分かってて!?そんな行動にしか出るしかなかったんでしょうけどね!」
紫「ァア゛!?負けねえわアホ猫がァッ!」
由羅「同じ種族だろーがバカ猫ォッ!」
ぐぐ、と押し黙った紫だが唐突に質問を投げかけた。
紫「...発情期は」
由羅「薬飲んでる」
紫「俺は飲んでねぇ」
由羅「!?は、馬鹿だろ、俺は帰る!」
紫「待てや」
立ち上がった由羅の服の裾を掴む。
ひくひくと頬が強張る由羅の姿を見て紫はニィッと下品な笑みをこぼした。