第3訓 猫の戦友
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由羅「この辺か...」
鬼兵隊の船は近くになく、本当に神楽に自分が高杉と接点がある事は言っていないことに安堵を覚える。
場所は吉原の近くの個室の飲み屋。
一応人に聞かれてはいけないという考えはあるらしいがあのバカの事なので、たんに二人になりたいだけなのかという考えも頭をよぎった。
建物を前に、覚えのある匂いが鼻をかすめその方向へ視線を向けると燻った緑の髪が目の前まで迫っていた。
「おいこらクソ由羅チャン、やぁぁぁっっと見つけたぜ」
ガシ、と肩を組まれ由羅は最悪だ...と絶望を顔にする。
由羅「あははー...大胆な捜索どうも」
近くなった顔に視線を逸らしながらもそう答えるも紫は苛立ちを隠せない様子。
由羅「...とりあえず子供返せ」
紫「怪我とかさせてねぇわ、まだな。お前次第。ここに連れてきてねぇから入れや」
こういう時は嘘をつかない奴だと分かっていた由羅は紫に連れられ個室の中へ案内される。
個室と言えど、かなり広く11畳程。
遊郭みたいな部屋だな、とか言うと紫はまた訳の分からない事を言いそうなので黙っておく。
ダンっ!と紫が勢いよく惹かれた座布団に座ると由羅も大人しく向かいに座った。
女中が日本酒を注ぎ、そそくさとでていく。
由羅「昼間っから酒ですか」
紫「別にお前が飲みたくねぇなら飲まねぇでいいけど」
由羅「はぁ...」
正直始めての仕事である書類やら、無理してつめてた仕事やらでストレスは相当たまっている。
悶々と考えていると紫は「俺は飲むけどな」と先に飲み始めたのである程度こいつが飲んだら飲み始めよう、と由羅は決心した。
紫「んで?俺のペットは今まで何してたんだよ。俺らとの約束ほったらかしてよォ」
由羅「...幕府には近づいてる」
紫「ぁあ゛...!?俺が聞きてぇのはんはもンじゃねぇわ」
苛立ちを隠さない紫は、あれだけ怒っていた由羅の罪悪感を刺激する。
紫「いきなり俺の前から消えやがって」
由羅「それはすまん。悪かったと思ってる...でも目的は同じでも俺はそんなに過激派じゃねぇんだよ」
紫「てめぇだって、こんな体になっちまったの許してねぇだろ」
あぁ、そうだーーー。
紫も同じく攘夷戦争に駆り出され、由羅と同じく体を変えられている。
あの痛みを知る唯一の共感者だ。
由羅「やり方はいくらでもあんだろ」
紫「は?なに雑魚みてぇな事言ってんだ。お前と俺と、あと鬼兵隊がありゃあこんな星秒殺だろ」
由羅「紫が思ってるよりこの星は弱かねーぞ」
何を思ったのか紫はその言葉に更に苛立ちを露わにした。
紫「お前よォ...散々逃げ回ってんの知ってるしこっちは人質連れてんだぞ」
由羅「お前が引かねぇってんなら、こっちから出向いてやるよ。
だから俺の周りを嗅ぎまわって危害を加えるのはやめろ」
紫「出向く?俺は早く帰ってこいって言ってんだ。何もお前とやり合いたい訳じゃねぇ」
由羅「言われた事はやってる。やってるからアイツを返しやがれ」