第3訓 猫の戦友
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由羅「クソ...まじクソ!!」
あまりの苛立ちに語彙力が低下しながら壁に拳を叩きつける。
バキィッーーー
「ひっ...」
力はさほど入れてないつもりだったがパラパラと破片がおちヒビが入った。
由羅「脱げ」
「はひ!?」
由羅「思い出した。お前、鬼兵隊の頃覚えてるぞ俺の後ろちょこちょこついてきてたろ。慕ってくれてたよな」
「お、おおお覚えてくださってたんですか!?憧れてて...」
覇気のない少年の目に少し光が宿る。
昔から戦意はあまりなく着替えや水などを渡してくれていたやつだった。
そういう人間は少なくはなかったがこの子は特に戦う気もなくあまりの地味さに何しに来たんだと印象を抱いたことがあった。
きっと死にかけたところを晋介に拾われただとかなんだろうけど。
力はないが雑用としては使えると思ったのだろう。
由羅「さんきゅ、んじゃ俺のこの隊服と交換してくれ。金はやるからどっか途中で服買って俺の服は万事屋っつーとこに置いててくれてくれる?
会わなくて良いから玄関前に。
紫には俺が真選組にいるのばれたくねぇんだ、言うってぇならここで殺すけど」
「じ、自分由羅さんの服着てもいいんですか!?」
良かった。
こういう男の扱いは慣れてる。
由羅「はは、変なものつけてくれるなよ。おら早く脱げ、脱がされてぇのか」
意地悪に笑うと男は顔を赤くしながらあたふたと脱ぎ出した。
「う、ぬ、脱ぎます脱ぎます...!」
由羅が着替えてる服を脱ぐ間はあわあわと手で顔を隠しながら後ろを向いていた。
健気かよ。
由羅「ん。ちょっと小せぇな」
「す、すみません...」
由羅「いや、急で悪いな」
服を無事交換し、まだ幼さの残る頭を撫でると顔を赤らめる。
自分どどうこうなりたいとかやましい気持ちなどは微塵もなくただただ強さに憧れ恥ずかしそうに顔を下げた。
「あ、あの、由羅さんは鬼兵隊には戻られないのですか!?」
その質問に由羅は少し考える。
由羅「あいつら次第かな」
とはぐらかすと悲しそうにするが、「あの時の由羅さんは辛そうで見てられなかったです」なんて言うもんだから思わず笑いが出た。
由羅「俺が苦しんでるんだとしたら今それを解決したくて動いてんだ、大きくなったら教えてやるから、それまで死ぬなよ」
「は、はい!自分、力なくて諦めてたんですけど、あ、貴方のような強い人になれるように鍛えます!」
頑張れ、という意味を込めて肩をポンと叩くと由羅は指定されていた場所へと向かった。