第3訓 猫の戦友
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ガタンと万事屋の扉を閉め、由羅はやってしまったという気持ちと少しの恥ずかしさと闘っていた。
由羅「うわ...これ恥ずいな...」
触れた唇に右手を当て、赤くなった顔を両手で軽く叩くと気持ちを切り替えようとする。
遠くの方でドォォンと総悟のバズーカと思しき音を聞き、由羅は足を早め階段を降りた。
適当にぶらぶらしてる、なんていうのは真っ赤な嘘であり由羅は目的地へと向かって行くのだった。
ーーーーー
由羅「おーい。出てこい厨二病」
街並み外れ影に隠れた薄暗い場所。
小さな小屋の前で由羅は銀時と匹敵する程死んだような目でだるそうに立っていた。
声をかけたにも関わらず反応が無いことに痺れをきらし、由羅はドンと扉を軽く蹴る。
すると中で物音がしガチャリと扉が開き、現れた人物はポーカーフェイスを気取っているものの少し苛立った様子。
「待ってたぜ、裏切り者」
由羅「うっせ、おめーの信者の犬がうるせぇんだろうが。晋助」
高「ククッ...なんで追われてるかお前さんが一番分かってるだろうよ」
中から出てきた人物は、過激派攘夷浪士高杉晋助。
真選組である由羅は摘発しなければならない存在のはずだが、ここに居るのを分かっていてもなおその素振りを見せない。
由羅「だから俺はわざわざお前みたいに全てをぶっ壊したい病末期患者じゃないんだって」
ハァ~と深いため息をつきながらも由羅は小さな小屋へ入っていく。
高「せめて約束の時間に約束の場所に来い。今日だってここに来ねぇと思ったがダメ元で来ただけだ、今まで何してた」
由羅「...言わねぇ」
高「幕府の犬にはなれたのか?」
由羅「...」
黙り込む由羅に、高杉は肯定として受け取る。
高「言われたことはやれ」
由羅「俺はお前の為に動いてるんじゃねぇ、たまたま目的が一緒なだけだ」
瞬間、高杉の刀が由羅に振り下ろされる。
由羅「...っ、ぶねぇな!俺今力ないの見て分かるだろ!」
首元スレスレだが、少しでも避けていないと死んでいたところだった。
高「ククッ...それでも反射神経は良いみてェだな」
そう言いながら刀をしまう。
はぐらかしてはいるが、確かに殺気立っていた太刀筋に冷や汗をかく。
由羅「ったく、そもそもお前が紫にあの薬もたせたんじゃねーの?」
高「ご名答」
由羅「俺たちがあの痛みがすげぇってこと分かっ」
高「なら早く真選組をぶっ潰せ」
言葉を被せた高杉に由羅は思わず舌打ちをする。
由羅「ほんとお前のそういう思考はつくづく嫌になるよ」
放たれた言葉に高杉は由羅に顔を近づけた。
軽く唇が触れ合うが由羅は何事もなかったかのように高杉をみつめる。
高「今どんな感情だ?」
由羅「お前こそ、余裕ぶった顔してるけど俺は変わらない。それにお前...、銀時と関節キスだけど大丈夫?」
はっと笑う由羅に高杉は思い切り顔を歪め、思い切り顔を殴りつけた。
由羅「っ〝...」
高「俺を挑発すんな」
ドロドロした空気の中、お互いがお互い自分の余裕を無理して保つかのようにニヒルな笑いを浮かべる。
由羅「晋助こそ、俺が長年言わまいとしてたこと、ノリと勢いで言わせたきっかけを作ったのは自分だということを気づけ」
高「俺はただ紫にきっかけをもたせただけだ」
由羅「その結果、どうなるか分かってたろ。ここに来ることを想定して約束を守らなかった俺を待ってたんだろうが。
俺は俺の目的のために動くが、ちゃんと紫の事を見張ってろ」
高「アイツは俺に刃向かわねェ」
その言葉に由羅は明らかに機嫌が悪くなり今にも壊れそうな椅子に腰をかけ、らしくもなく貧乏ゆすりをする。
由羅「俺だって真選組が腐ってるようならお前の思想に賛同したかもだけどよ、少なくともお前よりかは腐ってねーわ」
高「減らず口ばっか叩くんじゃねェ、今の状況で俺を怒らせるな」