第2訓 猫のしごと
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ーー吉原。
入ってすぐに由羅は目に入った人に声をかけた。
由羅「なぁ、アイツいる?」
肩を叩かれ振り返った女の人は目を輝かせ「キャア」と悲鳴にも似た声を上げた。
「ひ、久しぶりやないどすか由羅さん!もう最近めったにみぃへんから元気しとったんか思いましたわ」
由羅「色々あってさ、みんなに見つかる前にアイツのとこ案内してくれる?」
「ちょっと連絡してみますわ」
そう話してる間にも由羅を見つけ、ヒソヒソと話すものが見受けられる。
土「随分人気者だな?」
由羅「前とっつぁんが女装だの言ってたじゃん?その時に仕事してたのがここな訳。一応お前も副長だし非番じゃないとさすがに隊服じゃここに来れねぇだろ」
土「そんな事考えれたんだな」
由羅「トシはほんと俺の事なんだと思ってるわけ」
由羅が軽く脇腹を殴るが、そこに嫌悪感は全くなかった。
「由羅さん、と旦那様、こちらでございます」
由羅「さんきゅ」
見つかったらめんどい、の由羅の一言で大通りから少し外れた細い道筋へ入っていく。
土「どんだけ普段ここの女とヤリまくってたんだよ」
由羅「だって帰ってきたら部屋にいるんだもん」
土「なんだそのシステム」
由羅「とっつぁんがお礼にって事でしてくれてたみてぇだけど」
「あのタヌキ親父ならしかねない」と土方は妙に納得する。
「由羅さんったらおモテになりはるから大変やったでしょ」
由羅「あの時期は精子なくなるかと思った」
土「由羅の性事情知りたくねぇんだけど」
喋りながらも路地を進んでいくと、少し明るい道へ出る。
だが人通りは少なく、あたりはシンとしていた。
「お頭、つきました」
1つの扉の前で言うと、ギィと扉が開く。
そこは家というより倉庫、だが埃1つなく丁寧に掃除されているようだった。
由羅「よォ」
「久しぶりじゃの、連絡は来てるぞ」
中から出て来たのは吉原桃源郷の自警団、百華の頭領。
月詠であった。
由羅「久しぶり月詠、刀出してくれる?」
土「...」
名を知っていた土方は、由羅の人脈に少し驚く。
月「ぬしが次ここに来ると言うことはそういうことだろうと思っちょった、手入れはしてある」
由羅「おー、まじか助かる。俺真選組に入ったんだわ」
月「だから刀を...」
由羅「そうそう、地球のお偉いさん方はうるせーからなぁ」
と、由羅は土方を見ながらニヤニヤとする。
土「俺は関係ねぇだろ」
由羅「そーでござんすね。まぁまぁ、夜の街がこんな真昼間から相手してくれてありがとな」
月「ぬしには世話になったからの」
由羅「俺も夜の方はお世話になりました」
と言うと土方は由羅の頭を後ろから軽くはたく。
由羅「いてっ、なんだよ俺は嘘は言ってねぇもん」
土「いちいち下品なんだよお前は」
由羅「すんませんしたぁ」
そんな会話を交わしているうちに月詠は刀を差し出す。
土「...随分派手な刀だな」
鞘の色は燻んだ赤に黒く光り、取っ手の部分には繊細なトラの様な模様が描かれている。
持ち手は鞘とは反し、黒以外の糸が使われておらずそれは土方の目を惹くものだった。
由羅「抜いていい?」
月「...人は居ないし目を瞑ろう」
由羅は手慣れた感じで鞘を帯に刺し、刀を抜いた。
由羅「...」
その時間、月詠と土方にはスローモーションのようにうつる。
それは、まるで魂が宿ったように煌めいていた。
2人は刀と、そして持ち主に思わず息を飲む。
由羅は愛おしむように刃を手で撫でると自分の指先を少し切った。
由羅「んん、最高の斬れ味」
出て来た血を自分で舐めると由羅はブン、と土方の目の前に刃を向ける。
全く殺気が無かったため避けなかった土方は、無自覚にスゥと目を細めた。
少しニヒルに笑う 由羅。
いつもは見ない表情。
土「っ、(これは...たしかにエロいな)」
由羅「どぅ?可愛いでしょ俺の愛刀」
刀を持っているため上がっている右肩に頭を傾げる由羅。
土「悪くねぇ」
向けられた瞳を見ると、先程までの普段知っている赤い瞳から、いつもと違う黄色く光る目。
この前近藤さんが言って隠した瞳だ。
「興奮するとなる」と本人は言っていたが、あまり見られたくないという態度だったため土方は黙っておくことにした。
ただ、一瞬吸い込まれそうな感覚を覚える。
だが由羅はそんな事に気付かず、「そんなに俺の愛刀ちゃん見つめないでよ」といつも通りヘラヘラした顔に戻り打って変わり刀を鞘にしまった。
土「や、見てたのはお前の...いや、何でもねぇ」
由羅「ん?じゃ、ありがとな月詠」
月「あ...そうじゃ。頼みたいことがある」
由羅「嫌な予感しかしない」
月「夜の街だからと言って昼間人が少ない事がいいことに悪事を働いてる童がいる」
うわー、俺非番なんだけどぉ。と愚痴をこぼしつつも話を聞く体勢でいる由羅。
由羅「自警団はどうしたよ」
月「それが総動員で探しても犯人がみつからん。ぬしの鼻じゃとすぐ見つかるかもと思ってな」
由羅「...トシ、大丈夫?」
土「俺はどうせ夜まで暇だからな」
由羅「友達いねぇのかよ」
土「俺の良心を返せ。 由羅が空けろってうるせぇから空けたんだろうが」