はらはらと舞うは恋の風花


《北斗side》


湖に面した旅館にチェックインをして、部屋に入ったら、和風の部屋を通り越して外に続く引き戸を開けて、京本がくりっとした瞳をパチパチと瞬かせて固まった。

「…北斗。ここ、高いよね?」

「ん?そうでもないよ」

「だって、部屋に露天風呂あるよ!?」

俺を手招きして、露天風呂を見せようとする京本は、どこかはしゃいで見える。

「一般の人と入浴する訳に、いかないでしょ?」

なにより俺が京本の裸を、他の奴には見せたくない。

「俺からのプレゼントなんだから。なにも言わずに受け取って」

「…むぅ。北斗はずるい」

「なぁんでよ」

後ろから抱きしめて、すっぽりと収まる華奢な身体を、その場に押し倒してしまいたい衝動に駆られる。

この後、部屋には食事の配膳もされるし、それはまた後で。

「寝室はこっちだから」

手を引いて、もうひとつの引き戸を開けると、そこは落ち着いた和モダンな作りに、背の低いベットが並ぶ。

荷物を寝室の床に置いて、ベッドにダイブする、この可愛い生き物はどうしてくれようか。

枕に顔を埋めて振り向くのは、もはや反則技だろう。

「なぁに?あなた。誘ってんの?」

堪えきれずに、くすくすと笑いながら訊く。

「だったら、どうする?」

「あんまり時間がないんだけど…」

肩を掴んで反転させて、唇を重ねた。

期待に高揚して潤む瞳が、俺を見上げる。

「…北斗。もう、、焦れったいな」

唇をぺろりと舐めて、京本に肩を押されて、逆に俺が組み敷かれるかたちになった。

自分のズボンを下着ごと脱ぎ捨てて、俺のベルトを引き抜いて、性急に繋がろうとする京本が、俺のものに手を掛けて扱く。

「ちょ……ッ」

普段とは違う京本のリードに戸惑いながら、あっさりと根元まで自身を沈められた。

「んぁッ、、ほくと、、」

京本の肩が、ふるりと震えた。

ゆっくりとしたぎこちない律動で、揺れながら下唇を噛む姿は妖艶で、下から見上げるそれは、もはや絶景だ。

でも、ごめん。

もっと乱れさせたくて、腰に手を掛けて下から深く穿つ。

「やッ、、んんッ、、」

俺の腹の上でひっきりなしに喘ぐ京本の姿に、理性がガラガラと崩れてゆくのは、仕方の無いことと諦めた。




結局、「連れは疲れて奥で横になってます…」と、配膳に現れたスタッフに言い訳をする羽目になったのは、本当に申し訳ない。


【⑩へ続く】
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