飛べない蝙蝠は鷹の背中で夢を見る

【インスタストーリーズ裏側】
きょもがバスタブに頬を乗せたストーリーズです。


《京本side》


「あなたねーー!」

携帯が繋がった瞬間、第一声がそれだった。
してやったり、とほくそ笑む。

聞きたかった声。
会いたくなるから、こっちから電話はしないと決めていた。

案の定、気を使いしぃの北斗からも、電話は一本もくれなくて…。

だから、公式のストーリーを使って、嫌でも電話をかけてこなければ気が済まないだろう、シチュエーションを画策した。

「ねぇ、分かってる?どれだけの人が見てると思ってんの?こんな…」

「あられもない姿?」

「自分で言うんじゃないよ」

何度も自撮りして火照った頬、いつもの北斗との情事を思わせるような、俺の上裸は確かに功を奏したらしい。

「千秋楽、行くから」

「え!?」

そこまでは期待してなかった。

「ぽつっと予定、空いたから」

「無理したんじゃないの?」

「会いたいから、無理くらいするよ」

「なっ!そ、そういうの急に…!言う!?」

「だって、俺をその気にするだけして、お預けよ?あれ、スクショして保存しておいたから、次に会うまでは、これで我慢する」

「なにする気だよ…」

「言わせたいの?」

「んぇ!?いいいい、いい!聞かない!」

「ふはっ!」

顔が火照るのがわかる。

「説教だから、あなた。二度としないように」

「俺はなにも…」

「なにも?ふぅん」

「あ…いや、、」

「覚えてないと、酷いからね」

チュッと音を立てて、電話越しにキスを送られて、今更、後悔しても遅いことを知った。





北《斗side》


「……は!?」

目に飛び込んできた、肩に残る水滴がやけに艶めかしい京本の写真。

公式のストーリーにあがったそれは、俺を気遣うメッセージも添えられていて…。

あまりの衝撃に、思わず口元を抑えて、凝視する。

「どうされたんですか?」

俺の狼狽えぶりに、スタッフが尋ねてきたけれど。

「えっ!いや、なにも……」

言えるわけもなく、慌てて携帯を後ろに隠した。

なにやってんだよ、京本。

せっかく舞台に集中している京本を、俺なんかのくだらない独占欲で邪魔したくなくて、電話も控えていたのに…。

撮影が終わったら、今日くらいはかけても許されるんじゃないかと思う。

っていうか、これ撮ったの、誰?



撮影を何とか終えて、京本に電話をかけた。

『もしもし、北斗?』と、水琴鈴のように優しく耳に届く京本の声音。酷く懐かしく思えるのは、俺だけの感慨かもしれないけれど。

呼出音が鳴る間も、逸る気持ちが抑えられなくて、開口一番、『あなたねー!』と叫んでしまったのは、許して欲しい。

くすくすと笑う、京本。

______これは、確信犯だ。


「説教だから、あなた。二度としないように」

「俺はなにも…」

「なにも?ふぅん」

「あ…いや、、」

「覚えてないと、酷いからね」

チュッと音を立てて、電話越しにキスを送る。

テレビ電話にすれば良かったな。そうしたら、赤面する可愛い京本が見れたのに。

なんて思いながら、俺の心は、既に千秋楽の後、どうやって『おかえし』しようか考えたら、知らず口角があがるのがわかった。





「…あ、、んぅ、、も、ほくと、や…だッ」

「もう、降参?あんな煽ったの誰だっけ?」

腰に逃げれないように腕を回して、後ろから深く穿つ。

「も、しない、、からぁッ」

「そんなこと、あたりまえなんだよ」

背中を反らす京本の上裸を抱き寄せて、膝立ちのまま奥を突く。

白い身体をしならせて、顔をこちらに向ける様が妖艶で、さらに中心に質量が増す。

「や…、、ちょッ、、大ッきく、しないで…」

「大我、、も、、諦めて?」

「やぁぁッ、、壊れ、る、、からぁぁッ」

「どうぞ?」

後ろから覆い被さって、自身を深く沈めたまま、京本の耳元で囁く。

「ひゃッ、、それ、だめ…んんッ」

何度目かの絶頂を迎えて、京本の身体がガクンと力なく落ちるのを抱き留めて、額に張り付く髪を梳いて、そこに口付ける。

「もう、しないでよ?」

次は、もっと酷いからね?




【終】
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