君が最後に笑うなら
《大我side》
「きょも、動くよ?」
そう言って、ゆっくりとした律動で、樹に揺さぶられたら、もう自分のものとは思えない甘い声が漏れた。
「顔隠さないで…」
だらしない顔と無意識に漏れる声を抑えたくて、顔の前で交差した腕を攫われた。
手のひらを合わせて指を絡めて繋がれては隠れようもなくその顔を晒すから、さらに羞恥心が増す。
「大丈夫。きょもは綺麗だよ。その声、もっと聞かせて?」
身体を倒して耳元で囁く樹の、少し掠れた声に、腹の底が疼く。
込み上げる感覚は、どれも初めてで俺を戸惑わせた。
「樹……怖い…なんか…変…俺ッ」
「……きょも、大丈夫。優しくするから、一緒にいこうな」
そう言って、何度も唇を重ねてくる樹の絡まる舌は熱くて、なんだか頭がふわふわする。
縋るように見上げたら、眉を下げて目を細めた、見たこともないくらい優しく微笑む樹の表情が、俺の恐怖心を融解してゆく。
「…うん。樹で…満たしてよ…」
言ってから、なんて恥ずかしいことを言ったんだと、顔が熱くなる。
「きょも…」
ゆっくりともどかしいほどの律動で腰を進める樹に、初めて奥まで貫かれて、背中をぞくりと駆け上がる感覚に背中が跳ねた。
「きょも。ここ、気持ちいいの?」
「……ッかんない………あ…ッ」
「…んッ。気持ちいいんだ?きゅって…ほら、きょもの中」
恥ずかしさに首を振れば、「可愛い」と食むように口づけてくる樹に翻弄される。
「ふぁッ……んんッ…樹ッ……じゅりッ」
背中に回した腕に力が入る。
俺の反応に樹が腰に手を掛けて、見つけた弱い所を何度も擦る。
「…あ…やだッ…なんか…くる…樹ッ…」
なにも吐き出すことなく絶頂を迎えた俺の身体は、収まらない快楽に白い波に攫われそうになる。
「きょも、イキな」
額に薄らと汗を浮かべて、眉を寄せる樹の表情は扇情的で、腹の底がきゅっとなった。
「…あんッ……樹ッ…んんッ…やぁ……ッ」
「…くッ。俺もそんなもたないよ…きょも」
熱い吐息で囁かれて、俺の欲が爆ぜた。
「……んッ…きょも……ッ」
倒れ込んできた樹の体温を肌に感じた次の瞬間、熱いものが俺の中に放たれた。
「……じゅり…」
カラカラの喉から出た、舌っ足らずな甘い声に、樹が優しく微笑んで口づける。
なにも奪われたものなんてない。
優しさと愛しさで満たされた、それが俺の初めて。
【続く】