きみを想えば



《京本side》


今朝、出掛けた時と同じドアをまた二人で開けて、北斗に背中を押されて中へ入る。
「ただいま」と「お邪魔します」と、どちらを言うべきか、靴を脱ぎながら思案していると、先に靴を脱いだ北斗が、急に抱き上げてきて、じたばたと足を動かした反動で靴が脱げて玄関に散らばる。

「おかえり、京本」
「ただい…ぅん、、」

ただいま、と言いかけて、唇を塞がれた。
啄むようなキスをしながら、難なく俺を抱き上げたまま移動する北斗。

「京本、ドア、、開けて」
「……北斗?」
「ごめん。服、弁償するから…」

そのまま脱衣場から浴室に入ると、躊躇うことなくシャワーのハンドルを持ち上げた。
シャワーの温度を確認して、北斗がシャワーヘッドを俺に向ける。
ゆっくりとその場に下ろされて、じんわりと濡れて張り付く服の感触と、息継ぎに開いた口から入る水滴に顔をしかめる。

「ふぁッ、、ん、、んん、、」
「…は、、ん、、」

まるで溺れるようにキスを交わしながら、お互いの服を脱がして床に落とす。
上半身を覆うものがなくなって、北斗の均整のとれた身体を前に、今更ながら恥ずかしさで逃げ出したくなる。
意外と着痩せするタイプだ。

「気に入らないな」

北斗が、濡れた前髪をかきあげてポツリと呟く。

その、あまりの色香にドキリと鼓動が跳ねた。

「北斗?…なに?」

鎖骨に指先で触れて、樹が上書きした痕に爪を立ててくる北斗の瞳が、嫉妬にギラついた。
別れ際に樹が北斗の前でわざとしてきたのは、これをその時に付けたと思わせるためだ。

「……っ!」
「あなた、隙がありすぎ。自重して」

扇情的な瞳が俺を見下ろす。
北斗の指先が身体を撫で始めると、同じように唇で身体中を愛撫しながら、下へ下へと下がる。
膝立ちになる北斗の肩に手を置いて、ガクガクと震える膝を支えた。
首の後ろを引き寄せられて重なる吐息が熱い。

「こうやってキスをするのも……」
「ん、、、んんッ」
「そんな甘い声を出すのも……」
「……あ……んぁッ……んッ」

ゆっくりと執拗に続く愛撫に、身体がグズグズに蕩けていく。
下の衣服も脱がされて、立ち上がった俺のものにも唇を這わせて、ニヤリと笑って、それを口に含んだ。
北斗の口内は熱くて、ぎこちなくも強すぎる刺激に、容易くイッてしまいそうになる。

「…あ…やッ…ほく…と……ッ」
「全部、俺だけにして?大我」
「ふぁッ……んんッ」

上目遣いに俺の反応を見ながら続けられる行為に、視覚さえ犯されて、膝が落ちる。
その場にしゃがみこんで、つかの間、快楽から解放された。

「…は、、はぁ、、」
「ねぇ?返事くれないの?」
「んぇ?」
「ふふ。蕩けてだらしない顔」
「北斗だけだよ……だから……もッ」
「この中を乱すのも……俺だけ、ね?」

ぐいっと腕を引かれて俺を大腿の上に乗せると、北斗が後ろへ指を沈める。

「あぁッ」
「キツいな…、、」

「良かった」と小さく呟かれた言葉に、北斗の安堵の色が滲む。樹にあのまま抱かれていたら絶対に後悔していただろう俺は、きゅっと北斗の首に腕を回して抱き締めた。

「北斗、、だけだよ、、」
「うん。大我、好きだよ」
「、、俺も、、好き。ねぇ、、」
「だめ、まだ」
「もう、焦らさないでよ、、んッ、、」
「あ!ばっか!まだ入れっ、、くッ」

俺は北斗の腕を掴んで指を引き抜くと、北斗の先端をひくつくそこにあてがい、ゆっくりと自分の中に沈めた。







《北斗side》


「ん………」

もっとゆっくり味わいたいのに、早急に繋がろうとする京本に、俺のものは根元近くまで沈められて、奥を突く快感にビクビクと震える身体で、京本が倒れ込んできた。

「京本、大丈夫?」
「は、、ぁんッ、、ほくと、、ッ」
「まだ、早かったんじゃない?痛いでしょ?」
「ん、、だいじょ、ぶ、、」
「嘘。涙目よ?あなた」

繋がったまま動かずにいるのは拷問だけど、それよりも京本に無理をさせたくなかった。

「いい。痛くても、酷くされても、北斗だから。…ねぇ、動いて?」

イヤイヤと、首を振って懇願する京本。

「やだよ。京本、身体洗うよ?」
「んぁ、、やッ、、このまま、しよ?」
「あとで、壊れるまで抱くから。ちょ、動くなって!あなた今、誰の匂いさせてるか、わかって言ってる?」
「……え?」

堪えきれず腰を揺らし始めた京本が、ピタリと動きを止める。
俺は手を伸ばしてシャンプーをポンプから手に取ると、泡立てて、それを京本の金色の髪に撫で付けた。

「だから、大人しくしといてよ。俺をこれ以上煽んないで?今、自分がなにするかわからないんだから」


【続く】
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