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カタクリ

「カタクリさん、どうぞ」


いつも夜遅くまで仕事(?)をしている、夫のカタクリさんに珈琲を届けるのが私の日課の一つ。


「あぁ」


カタクリさんは珈琲を受け取ると、机に置いてまた書類やら何やらをやり始めた。


「とーしゃん!」

「あ!」


捕まえる間もなく、娘のミントがカタクリさんに抱き着く。


「むぅっ……ミント!」


折角の二人で居られる貴重な時間。

ミント抜きで話したい……。


「なぁに?とーしゃんはミントのだよ!」

「違います~!私のです~」


子供相手に大人気ないと思うけど、私の方が絶対カタクリさんと仲良いもん!


「ミントの!」

「私の!」

「あーしゃんの!」

「私の!……って、え?」


この子の発言に耳を疑った。

いつもはミントの!って言い張って、この言い合い終わらないのに……。


「この前あーしゃんととーしゃん、ちゅーしてたもん。でもミント、とーしゃんとちゅーしたことない」

「ミントっ」


何で知ってるの……。

ミントが寝てからだったはず。


「あーしゃんの方がとーしゃんと仲良いもん……」


そう言ってミントは寝室に戻っていった。

変な空気残して行かないでよ……。


「おい」

「ひゃい!」


いきなり声を掛けられて、変な声が出る。

そんな私に口付けをし、抱き締めるカタクリさん。



「いつもありがとう」

「へ、あ、はっ、はい……」


思わず部屋から飛び出し、朱くなった顔を隠すように手で頬を触ると、力なくその場に座り込んでしまった。







今のは反則でしょ……









またの御来店を心よりお待ちしております。
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