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クザン

さっきクザンさんが仕事をしないせいで、“ぼ・く・が”センゴク元帥に注意されたんだから。



「ちょっとクザンさん!!!」

「何よ」



なのに当の本人はケロッとしている。



「いや“何よ”じゃなくて……」



これでも大将なんだから呆れちゃうわぁ。

ほぼほぼ書類系は僕がやってるんだよ。



「し・ご・と!!!早くやってください!!僕はもうやりませんからね!」

「えー」



クザンさんの机の上には書類のタワーができている。


どうやったらこんなに溜まるんだ……。



「君がキスしてくれたらやってあげてもいいんだけどなぁ~」


「は?」



え、今なんつったんだこの上司。



「ばっ、ばっかじゃないですか!!嫌ですよ!馬鹿な事言ってないで仕事!仕事してください!!」



やっと頭が追いついてきた。



「あららら、顔真っ赤じゃないの。冗談で言ったつもりなのにねぇ」

「うっさい!!……ですよ」

「まぁやってくれたら……書類もやるかもなぁ~?」

「うっ……」



ここでクザンさんが書類をやってくれたら僕が徹夜しなくても済む……。

一時の恥を選ぶか、一晩の睡眠を選ぶか……。



「あ、じゃあいいです。僕が書類やるんで」

「えぇ~釣れないなぁ」



残念そうに答えるクザンさん。



「いいじゃん、一回くらい」



その時のクザンさんの顔が少し悲しく見えて、思わずこう言ってしまった。



「ぅ、い、一回だけ……ですよ……?」



言ったからにはやらないわけにはいかない。

渋々クザンさんに近付き、背伸びをする。



──Chu



「いいですか。これで」

「あー、やば。何か離したくなくなっちゃったなぁ」



そう言って僕のことを抱き締める。



「なっ!しっ、仕事やるって約束じゃないですか!」

「やるかもとは言ったけど、やるとは言ってないよね」



何なのこの上司。



「はぁ?!」

「まぁまぁ、いいじゃないの」

「良くないから言ってるんですよ!!」



僕の唇にクザンさんの唇が触れた。

どんどん深いキスになっていく。



「ふぁ……ぁん、ぁ」



クザンさんの舌が僕の口内を荒らす。



「可愛い声出しちゃって。もう俺、止まんないからね?」



クザンさんはそう言ってニヤッと笑い、僕を押し倒す。



「ぁ、だ、駄目っ……!!仕事が……」

「そんなもん後でやりゃあいい」



─次の日─



「うぅ、腰痛い……仕事多い……」

「頑張ってね~」

「クザンさんもやってくださいよ!!!」



そして今日も、僕の怒号が海軍本部に響き渡るのであった。








またの御来店を心よりお待ちしております。
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