渦
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拓 「何か、言ってよ。」
おれはあんまり。
こういうのは向いてへんけど。
やから、
ストレートに伝えるしかできひんくて。
マジックにかかってるなんて、
言われて腹が立ったから。
ほら見ろ。
退院したって、
やっぱり毎日、
さゆさんのこと、考えてるやんか。
さゆ 「な、にも、
言えない、」
その場で動かなくなったさゆさんの。
一歩手前まで、にじり寄って。
固まったままの彼女の前に、立ったけど。
恥ずかしくて、
ポケットに手が入ったまま。
ただただ、
じっと立ったままの、おれ。
拓 「・・・駆け引きとかでけへんし、
ストレートに、言わして。
おれのに、なってよ。
さっきみたいに、
毎日名前、呼んでよ。」
さゆ 「・・・ちょっ、と、
混乱、して、」
拓 「ほんならもっと混乱したらええわ、」
ポケットの中の手は。
なんでか出てけーへんかったから。
さゆ 「・・・な、にしてんの、」
そのまま体を倒して。
マスクをしたさゆさんの唇に。
自分の唇を押し当てた。
拓 「・・・何やと思う?」
さゆ 「わ、かんな、い、」
わかれへんの?
ほんなら、
知らんから。
こんなストレートな言い方で、
わかれへんのやったら。
自分のせいやで?
拓 「・・・付き合ってよ、おれと。」
さゆさんのマスク、
ようやくポケットから出てきた右手の人差し指でチョイっと降ろして。
ホンモノの唇に、
キスをした。
固まったままの、さゆさん。
少しずつ、
顔が真っ赤に燃えてきて。
こっちまで、
うつるやん。
さゆ 「・・・つ、めた、
いつから、待って、たの、」
