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土屋ver





恋人の口から『好き』を聞きたい、それが乙女心というもの。

「淳君」
「んー?」
「...お、女編に子どもの子、なんて読むっけ?」

好奇心と羞恥心。
名前を呼ぶ段階では一応前者が勝ってたはずなのに、いざ本題に入ると逆転してしまった。なんでこのタイミングで正気を取り戻してしまったのか、自分よ。

「は、はよ答えて...!」
「んー...」
「あ、分からんのやったら別に「好き」...!」
「好き、やな?」

なんとなく、そうじゃないかとは思ってたそれは、彼の答えを聞いた今、確信へと変わった。

こちらの目論見など、彼にはお見通しだったって。

「...いじわる」
「あれ、花丸の答えやと思たのに」
「そーやけど!...もー、悔しい!」
「なんのことか分からへんなぁ」
「嘘!淳君がうちのこと分からんわけないやん!」
「自分、たまに素でウルトラポジティブ発揮するなぁ」
「事実やもん!」
「はは、せやなぁ...けど、それ自分もボクんことよお理解しとるっちゅーことやんな?」
「当たり前やん、幼馴染で......こ、恋人なんやから...」

元よりあってなかったような主導権は、もう完全に彼のもの。

「うー......淳君のアホ!あざとい系男子!」
「嫌?」
「好きに決まっとるやんか!」
「うん、ボクも好き」

ああ、忘れてた。
幼馴染は、愛しい恋人は、周りくどい方法をとらなくたって『好き』をたくさん与えてくれるって。

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