答えはここに。
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一通りいじり倒して再び訪れた静寂の中で、昔を懐かしむ。
(あの後もおもしろかったなぁ...)
あの一件から程なくして、私達は恋人としての付き合いを始めた。
あれってプロポーズだった?と訊ねる私に、本気で慌てた栄治は今思い出しても面白い。慌てすぎて、プロポーズはちゃんとする!と盛大な予告までされた。
(...さて、そろそろちゃんと話さなきゃな)
視線を落としているせいで彼の表情は分からないけど、おそらく次に振る話題でも探しているのだろう。机を揺らさないように気を遣っているのも。ソワソワした空気が伝わってくる。
「...さっきの」
紙に走らすペンは止めないまま。
「名前呼ばなくなった本当の理由、教えてあげよっか」
もう少し、もう少し。
「...また揶揄う気なんじゃないよな?」
「ちゃんとした理由ですぅ。信用ないな、もう」
「それは奈緒子が毎回オレで遊ぶからだろ!」
否定は出来ない...いや、する気はない、の方が正しいのかも。
「だって面白いんだもん」
素直な栄治のその反応は、見ていて飽きない。
今までも、これからも。
「ったく......で、その理由って?」
それはね、栄治。
「それはねぇ......っと、よし!」
ようやく書き終わったそれに声が弾む。
ずっと握っていたペンを端に置き、晴れて自由になる右手。
必要事項は全て埋まってるし、誤字は......多分ない。まあ、それはこの後一緒に確認すれば良いことだ。
今、この場で二番目に価値のあるそれを両手で大事に持ち、胸の前に掲げて向かいに座る彼に見せる。
これが、質問の答え。
「お義父さん...って呼ぶ日の為に備えておきたかったから」
夫婦になるための大事な書類。
胸の奥から込み上げる、くすぐったいようなじんわりあったかくなるような感覚に、自然と笑みがこぼれた。
もうすぐ、私達は家族になる。