答えはここに。
name change
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白地の紙にペンで黒を書き足していく。失敗しないよう、一文字ずつ丁寧に、丁寧に。
そんな私に、真向かいからじっと送られる視線。
「そーいやさぁ...」
それまで無言だった相手が、やっと見つけたらしい話題をうわずった声で切り出した。
「んー?」
見なくても分かる。
注がれた視線の先は、私の右手と書きかけの薄い紙だって。
「奈緒子って」
「んー」
「親父のこと名前で呼ばなくなったよな」
話しかけられても動かし続けていた手を止め、ゆっくりと顔を上げる。少し緊張した表情は予想通り。
気恥ずかしいのか、すぐに逸らされてしまったけれど。
そんなあからさまな態度がかわいくて、声に笑いがのってしまう。
「えー?なに今更」
彼...栄治の言いたいことはなんとなく理解出来た。
家族を除けば一番長い付き合いである沢北家。その一家の大黒柱であり、彼の実父でもある沢北哲治のことを私は昔、名前で呼んでいた。
それが今では”栄治パパ”に変わり、完全に定着している。
どうやら彼は、その理由が知りたいらしい。
正直、自身の得意分野以外での変化に気づいたことには心底驚いたものの、気にかけられているのだと思うと嬉しくなる。
...でも。
「本当に聞きたい?」
「な、なんだよその意味深な言い方...」
「さぁ?で?聞くの聞かないの、どっち」
それを悟らせるのは悔しいから、まずは私の番。
「どこかの男の子が”オレのテツだぞ!オレの父さんなんだからな!”って言ったから」
「は?!!」
本当の理由は、揶揄った後に教えてあげる。