He’s so c○○○.
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
うちの学校には、ちょっとした有名人がいる。
その世界を知る者ならば、ちょっとどころではないだろうけど。
「沢北」
こちらを振り返ったこの人物は、沢北栄治。
全国にその名を轟かせる、我が山王工業高校バスケ部エース。観る者、戦う者までも魅了する華麗なプレーは、もはや芸術だ。
当然、人気も高い。
実力はもちろんのこと、端正な顔立ちの彼に心をときめかせる女性は多いだろう。
だけど、彼女達は知ってるかな。
「沢北、あんた...また泣いたって?」
「げっ!な、なんでそれ...!」
彼が本当は結構な泣き虫で、
「私の情報網なめないでよね。どうせ余計なこと言って河田さんに技かけられたんでしょ」
「うっ...!」
バスケ以外じゃそんなに頭の回転が良い方でもなくて、
「おおかた、言葉のチョイスミスったってとこ?」
「や、だってよ......河田さんが...!」
ちょっと...いや、かなり子どもっぽいってこと。
「はいはい。まあ、良くも悪くも素直なのがあんただからね」
「だろ?」
「そうやってすぐ調子にのるとこはアレだけど」
「上げて下げんなよ!」
「最後まで聞かなかったのはそっち!」
「くっ...!」
あと、口喧嘩もそんなに強くない。
ルックスも才能も、頭ひとつ抜けてる彼は、誰が見たってかっこいいだろう。私も同意見。
「先輩達の心が広いから良いけどさぁ」
「いや、広くないだろあれ」
「広くなかったら今頃こんなのびのびしてないんじゃない?」
「...まあ、そうだけど」
「ふふ...」
「な、なんだよ」
「んー?......なんやかんやで先輩達のこと大好きだよね、沢北って」
「そりゃ尊敬も感謝もしてるけど......なぁ、ところでさ」
「うん?」
沢北はたしかにかっこいい。
でも、それより。
「......なんで、名前で呼ばねぇの?」
彼の本当の魅力は、かわいさだと思う。
「...名前が良いの?」
「そりゃだって......つ、付き合い始めたし...よ...」
綺麗な顔をほんのり赤らめて頬を掻くこの姿を、かわいいと言わずしてなんと言えば良いのか。
「ふふっ...」
「わ、笑わなくても「栄治」...!」
「栄治」
「...おう」
「好きだよ、栄治」
「...オレも、奈緒子が好き」
照れくささと嬉しさが混ざったような表情は、きっとこの世で私しか見られない。
180cmを優に超える身長も、逞しい身体つきも、坊主頭も、目を奪われるプレーも。
そんなの全部引っくるめて、私は思う。
沢北栄治って、とっても_________。