｢ちょっと生意気なとこもあるけど、愛嬌もあっていろんな人に好かれてて｣
｢...はい｣
｢向上心もあって、いつも真っ直ぐ前を見てて｣
｢...はい｣
｢自信過剰...ではないけど、すぐ調子のっちゃうとこもあって｣
｢...はい？｣
｢あと、思った以上に鈍感｣
｢...は......え？｣

上田さんの顔が、少し赤くなっている......ように見えるのは、都合の良い幻覚だろうか。

(いや、まさか......けど、こんな...)

さっきとは違う意味で心臓の音が大きい。
もしかして...と、一度考えてしまったらもう、そうとしか思えなくなってしまう。

｢...沢北｣
｢はっ...はい！｣
｢...好き！｣

真っ直ぐ目を見て告げられた言葉は、たしかに自分へ向けられたもの。

｢...こ、告白の相手って......｣
｢沢北だよ｣
｢じ、じゃあ、さっき話してたことは...｣
｢沢北のことだよ、全部。なんか自分っぽいなって思わなかった？｣
｢...正直思うとこもありました｣
｢のに、気づかなかったの｣
｢いやだって...！告白する相手に恋バナだのなんだの言ってくると思わないでしょ！｣
｢サプライズ！｣
｢良い風に言いますね！ホント！｣
｢なによ、私だって緊張してたんだからね！｣
｢どこで？！｣
｢脈あるとかどうとか話したじゃない。嫌われてるとは微塵も思ってないし、なんなら好かれてる自覚はあったけど...反応薄いから、あれ？ダメかも？って珍しく不安になったんだよ！｣
｢え、オレそんな表情に出てなかったですか？｣

むしろ彼女からは、分かりやすく落ち込んで見えるんじゃないかと思う態度の気でいたのに。
普段の彼女なら、絶対に気づいていたはずのあれを見逃していたのか...？

｢...ホントに緊張、してたんですね｣
｢だからそう言ったでしょ......てかまだ緊張してるんだけど？｣
｢え？｣
｢...返事、もらってないもん｣
｢あっ...｣

想定外の出来事に舞い上がって、肝心なことを失念していた...と言うより、もうした気でいた。

だって、

｢...オレも好きです、上田さんのこと、大好きです！｣

オレも同じ気持ちだから。