好きな人
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「でね、告白するならどうやるのが良いかなって」
「どうって...」
「沢北、告白されたことあるでしょ?だから参考にしたい」
「...って言われてもなぁ」
イベントとかその場の雰囲気で流される場合もあれば、どれだけロマンティックなシチュエーションでも好意のない相手では成就しないこともある。
要は相手次第。
「じゃあ状況はひとまず置いといて、目を見てとか...なんかあるでしょ?」
「あー...たしかに、真っ直ぐ目ぇ見て言われたらグッとくるかも」
「そうでしょうそうでしょう!」
「なんでそこで誇らしげなんですか...」
「私、思いの外告白のイロハを理解してるなって」
「自画自賛ってやつですね」
「そういうことばっか覚えて!どうせそれも深津や河田によく言われるからでしょ?」
「うっ...!で、でもオレのは周りにも賞賛されてることだし!」
「だとしてもでしょ!そんなだから技かけられるのよ、お調子者め!」
「良いじゃないですか!」
「悪いとは言ってないよ!素直で元気もあってよろしい!」
「どっちなんすか!」
「...ふっ、あははっ!」
「ちょっ...今度はなんなんですか」
「ごめんごめん...やっぱり好きだなぁって」
「は......あ、告白相手...の」
一瞬どきりとしたが、意外な程すぐに自ら現実へと引き戻った。
そう、どれだけ自分が胸を高鳴らせようと、彼女の言葉も気持ちも全て自分ではない誰かに向けられている。
(...それでも、やっぱ羨ましいとか思うだろ、普通)
「...いつするんすか、告白」
「今から」
「...今?!」
「うん...って言うか、もうしてるみたいなもんなんだけど」
「...?呼び出してる、とか?」
「まあそんな感じかな」
「なら「沢北」...はい...?」
「こっち見て」
「...見てますよ」
「嘘。目が合ってない」
「...っ、なんですか」
「あのね沢北、よく聞いてほしいんだけど...」
「...はい」
「私の好きな人は、かっこよくて優しくて、運動神経も良くて...勉強はまあそんなにかもだけど、素直でかわいくて...」
「...それ、さっきも聞きましたけど」
「うん。復唱してるの」
「なんで...」
「聞いてほしいから」
一体なんの拷問なのか。
出来れば今すぐにでもこの場を去りたいところだが、静かな迫力のある彼女を前にそれは叶わぬ望みでしかない。