手紙
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沢北栄治様
先日、この学年最後のテストが終わりました。
予告通りそのことからお話ししますね。
今回は体調を崩すこともなく、結果も満足のいくものでした。年度終わりに不安が残らなくて安心しました...って、これ前も似たことを言った気がします。
続きは、あとは、あとは......
ごめんなさい、書けないです。
私から言い出したのに、この先を書こうとしても筆が進まない、思い出せないんです。
テストのことよりも、その後にあったことが頭から離れなくて。
だって、今日は卒業式だったから。
去年と同じ流れで、滞ることなく進みました。
卒業生が入場して、開式の言葉、卒業証書授与、式辞、閉式の言葉、最後に退場。
違うのは卒業生が親しい人達であること、そして、私の気持ちです。ただ、後者にはギリギリまで気付けないでいました。
入場の時も、代表の挨拶を聞いている時も、退場される時も、式が終わって皆さんのところへ行ってもいつも通り。
だったのに、声をかけようとした瞬間、言葉の代わりに涙が出てきたんです。
本当に、先輩達はご卒業されたんだなって。
その時になって急に実感したんです。
笑顔で駆け寄って来たのに突然泣き出してしまったものだから、皆さんそれはそれは驚かれてました。正直、私が一番びっくりしてましたけどね。
なかなか涙が止まらず、おめでとうも言えなくて、一時はどうなるかことかと...。なんとか持ち直しましたが、あれは本当に焦りました。
結局その後、部やクラスの集まりまで一緒に居てくださって、なんだか独り占めしてる気分でした。
卒業式と言えば第二ボタンですが、いろんな意味でダメだと意見がまとまり、コサージュを代わりにいただきました。門出を見送る側が貰ってばかりではいられないので、私からも桜の花とお手紙を贈りました。花と言っても折り紙で出来たものです。一見すると幼稚にも感じるけれど、散らない桜も良いと思いませんか?
それから、一緒に写真を撮って、お手紙とは別に感謝の言葉をたくさんたくさん伝えました。
あなたと親しくなる前は、ただすごい人達としか認識していませんでした。
不思議な語尾を使っていたり、実は面倒見が良かったり、割と苦労人だったり、見た目に反して繊細だったり、試験のマニュアル改変の要因を作ったりするような人達だなんて分からないままだった気がします。...何名かは流れで知る機会があったかもしれませんが、それでも、実際の人柄を知らずに今日を迎えていたでしょう。先輩達と仲良くなれて、たくさん知ることが出来て本当に良かった、そう心から思います。
出会った経緯も関わる状況も違うけれど、あなたが先輩達を大好きなのと同じくらい、私も先輩達を大好きになりました。
実は書いてる途中、また泣きそうになってたんです。思い出し泣きですね。
こんな時、誰かに縋りつきたくなるのは人の性なんでしょうか。
今更ですけど、弱音ばかり吐いてますね、私。
あなたが元気になれるように、こっちの心配をしなくて良いように、そう思ってはじめたはずなのに、私が一番原因作ってる気がします。あ、今のはネガティブ発言ではないですよ!
...こんな風に、一方的な語りになっても直接会話するより罪悪感が軽減されるの、手紙の良いところだと思います。
もう結びに差し掛かってしまっているものの、書き出しよりだいぶ落ち着いてきました。
だけど、これ以上は失言になってしまいそうなので、そろそろ終わりにします。
回を追う毎に感情を隠せなくなってしまったの、自分のことながら笑っちゃいました。
手紙を書くことは好きだけど、やっぱり面と向かって話す方が私らしいのかもしれません。
上田奈緒子
p.s
今にはじまったことではありませんが、無性にあなたに会いたいです。