おんぶ、からの...
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「エージ、発進!」
ビシッと前方を指差しながら高らかに声を張る私。
「するか!」
と、困惑しながら拒否する幼馴染。
「え?燃料切れ?」
「ロボか、オレは」
私は今、幼馴染である栄治の背中に乗っかっている。
本来なら180を超える相手に飛び乗るなんて、両者に危険が及ぶから出来ないし、やらない...のだけど、たまたま座っている栄治の後ろ姿を見つけたものだから、つい。こっちが心配になるくらい簡単に、その広い背中にしがみつくことに成功した。
バスケの時は背中にも目がついてるんじゃないかって思う動きなのに、普段は全然違う。
「ノリ悪い!ちょっとくらい遊んでよ」
まあ結果的にこのポジションを勝ち取れたから、私にとっては好都合。
「いくつだよ、お前」
「あんたと同じ17歳ですけど?seventeen、解る?」
「無駄に発音良いな」
「ふふん。てか、ほら!そんなことより発進!」
「だから、ロボじゃねーって!」
依然として拒否の姿勢を見せる栄治。
こうなったら次の作戦。
「うう、栄治酷い...!」
「ちょ、おい...え、泣いてんのか?」
「うう、昔はよく遊んでくれた......いや、言う程でもなかったね」
「なんなんだよお前......つーか嘘泣き...」
「あっ、しまった」
「泣き落としすんなら最後までしろよな」
「だって、よく考えたらたまにしか遊んでなかったなって。栄治、バスケばっかしてたし」
「それは......そーだけど」
「昔からバスケバスケで...そこが栄治らしいけど」
「まーな」
「ホント逞しくなったよ」
「...奈緒子」
「ん?」
「しっかり捕まっとけよ」
「え?...わ、え?!」
突然訪れた衝撃に驚き、肩へ置いていた手に思わず力が入る。
「ほら、望み通り発進したぞ。どーだ?」
「なんかグラグラしてる」
いつもよりずっと高い位置から見る景色は、酷い揺れで全然安定なんかしない。
「おまっ...やらせといてそれか!」
「...ふふ」
それでも、これは私にだけ見える景色。
いつもよりずっと、そしてこの先もきっと、変わらない特別なもの。