振り向いてほっぺたつつく悪戯
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人は暇を持て余すと、くだらないことに手を出しがちな生き物であり、その結果、殆どの場合で痛手を負うことになる。
今の私のように。
「いやぁホント、指骨折するかと思った」
肩を叩き、振り向いたところで頬を軽く突く。隙だらけの恋人に、スキンシップの一環で仕掛けた、かわいらしい悪戯。
...が危うく大惨事になるところだった。
いや、自業自得なんだけど。
「ったく...自分まて怪我しそうなことすんなよ」
「えへへ...はーい」
心配と呆れが混ざった口調。
痛めた指を包み込む手は、自分よりもずっと大きいのに、優しくて少しくすぐったい。
「違和感とかあるか?」
「んーん、平気!大は?ほっぺ痛くない?」
「オレも平気。びっくりしたくらいだな」
「ホント?良かった」
「心配ありがとな。さて、と...他に言うことは?」
「...なかなかの突き心地でした」
「反省する気ないな?」
「ぎゃっ!」
さっきまで指を労っていた両手が、今度は乱雑な動きで髪を掻き回す。
「ちょっと!髪ぐちゃぐちゃになる!」
「反省は?」
「した!しました!ごめんなさい!」
「よし」
「もー...」
「はは、悪い悪い」
「気持ちがこもってなーい!」
元を辿れば原因は自分だと言うのにこの態度。傍から見るとまるで暴君。
でも、大にはちゃんと伝わってる。これが甘えてるだけって。
...え、伝わってるよね?
「どうかしたか?急に黙って」
「...や、別に」
「ふーん?...あ、そうだ、奈緒子」
「?な......に...」
俯きかけていた顔を上げるのと同時に、コツンと合わさる額。
「仕返し」
至近距離で告げてくる大の顔は、してやったり...なんてセリフまで聞こえてきそうだ。
(...完敗)
悪戯の成功だけじゃなく、一瞬浮かんだ疑心までも払拭してしまった彼につられて、自然とこぼれる笑み。
改めて思い知らされた。私の笑顔にはこの人の存在が欠かせない。
今日も、明日も、ずっとずっと。