結婚してよ!
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「また振られた...!」
「あまり飲み過ぎんなよ」
飲みかけの缶と共に机に突っ伏す私と、机の上を慣れた手つきで片付ける幼馴染。
どうやら、叩きつけた衝撃で中身が溢れてしまったらしい。家主である彼にこんな後始末をさせて悪いなとは思うが、荒ぶった感情の抑制は難しいのだ。
「重いから?!重いから振られるの?!うわああああん!」
「まあまあ...」
「そもそも私は!付き合う前に言ったもん!重いよって!そしたら”束縛する子って好きなんだ”とかほざいてたくせに!あの野郎!」
「落ち着けよ」
「もうやだー!男なんて...男なんて...!」
「オレも男なんだが...どう反応すれば良いんだ?」
「知らない!」
「...まああれだ、そんな気に病むなよ、奈緒子」
「無理じゃない?この状況でそれは無理じゃない?」
「はは...」
巻き込んでる自分が言うのもなんだけど、よく毎回付き合ってくれるなぁ、稔。
...だから、いつまで経っても未練が残るんだよ。
あー、もう決めた。酔った勢いに任せて無茶振りしてやる。
「稔」
「ん?」
「もう稔が私と結婚してよ」
あんたのその優しさに、全力で寄っ掛かってやるんだから。
「...は?」
「なに、ダメなの?私が可哀想じゃないの?」
「いや、」
「この場凌ぎでOK出せない程私のこと嫌い?」
「それは、」
「そうなんだ、やっぱりそうなんだ!稔も私なんて要らないんだ!」
「ちょ、」
「付き合わなくて良いから結婚してよ!」
「それ逆じゃ...」
「うわあああん!」
「...ああもう、分かった!分かったから!」
「...!言ったね?言質取ったから!今の取消出来ないから!」
「好きにしろ......ったく、人の気も知らないで...」
「そーするもんね!よし、じゃあ乾杯しよ!」
「乾杯って、お前なぁ...」
「いーから早く!」
「はいはい......ったく、人の気も知らないで...」
そうだね、言ってることがめちゃくちゃな自覚はあるよ。
でも、私だってバカじゃない。こんなふざけた、プロポーズとも言えないものが明日には全部、なかったことになることくらい理解してる。
せめて今くらい、夢を見させて。