欲しかったやつじゃなーい!
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(今日の気分はココア!)
ルンルン、なんて擬音が付きそうな気分で自販機のボタンを鳴らす。ガコッと音が聞こえてきたら、取り出し口から拾い上げて目的の品をゲット!
...とはいかなかった。
「え......コンポタ?」
もしかしてパッケージが変わったのか、と若干現実逃避をしながら確認するも、表記されている文字がそれを否定する。
(最初のコしか合ってないんですけど......えーなんでなの...)
さっきとは打って変わり、テンションは急降下...
「もーらい」
...しかけて、強制停止。
「...諸星!」
奪い去った缶を掲げ、その後ろから顔を覗かせるのは、クラスメイトの諸星。
「なにしてんだ?」
「んー...アクシデントみたいな......諸星は部活あがり?お疲れ様」
「さんきゅ。で?アクシデントって...あ、もしかしてこれか?」
手に持ったそれと私を見比べる諸星に、頷きながら簡単な経緯を話す。
「...で、多分機械の故障かなぁ」
「あー...それはツイてなかったな」
「ホントだよ...まあ飲めなくはないけどさ」
「...ちょっと待っててくれるか?」
返事も聞かず彼が足を向けたのは、私が使ったのとは別の自販機。
硬貨を落とすところから商品を取り出すまで流れるように済ませると、あっという間に戻ってきた。
「ほい、上田」
「え?」
「一日の終わりがツイてないまんまってのもな」
「で、でも悪いし!」
「オレはほら、さっきこれもらったし」
「正確には持ってった、だよね」
「はは、まあな。だからさ、これはそのお返しってことで」
「...本当に良いの?」
「もちろん」
「...ありがと!」
「どういたしまして。ココアじゃなくて悪いけど」
「ううん、嬉しいよ。これ好きだし」
「だよな」
「あれ、言ったことあったっけ?」
「飲んでるとこ、何度か見かけたからな」
屈託のない笑顔につられて頬が緩む。
なるほど、彼の人望や人気の高さはこういうところからくるのか。うん、納得。
沈んだ気分で終わりかけた一日を、見事巻き返してくれたヒーローに感謝しながら、手の中に収まるそれをギュッと握った。
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