振り向いてほっぺたつつく悪戯
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「...なにしてんだ」
うん、そうだね。
キミからしたらその反応は正しいと思う。
だけど、ひとつ言わせてほしいの。
「振り向くの遅すぎでしょ...!」
「知るか」
「ですよね!」
なんの脈絡もなく、思い立ったからってだけで子どものような悪戯をした自分に文句を言う権利なんかない。そんなことは分かってる。
しかし、まさか普通にひっかかるわけでも気づくでも、勢い余って共倒れるでもないとは想定外。
「視線だけ向けてくるとか...おまけにそこで終わりと思わせておいて手を退けた後にハイパースローで振り向くなんて...」
いくらなんでもスローモーションがすぎる。そんな映像判定みたいな動きされたら、仮に成功したって不完全燃焼だ。
しかも今回は失敗したうえでこれ。
(なに?初見殺しのトラップなの?仕掛けた側って私だよね?)
最早責任転嫁とも言えるが、いじけたくもなる。眉間に寄るシワとオーバーに尖る唇は、きっと不満をそのまま体現して見えるに違いない。
悪戯同様、子どもっぽさ全開だ。
...でも。
「おい」
そんな私の表情に変化を起こせるのが、この男。
単純?そんなの、私が一番知ってる。
だって仕方ないでしょ、惚れてるんだもの。
「なんで「ん」...はい?」
「ん」
一言どころか一文字だけ発し、綺麗な顔を少し斜めに向けた状態で寄せてくる恋人。
当然だがクエスチョンマークは増える一方。ついでに某アニメ映画のキャラクターがダブって見える。
え、本当になに?
「あの、どういう...?」
「触りてーなら普通にしろ」
「えっ」
なるほど。
どうやら、彼に触れたくてあんな悪戯をした...と、思われているらしい。
(違うんだけど.........けど、これって棚ぼたってやつじゃない?)
呆れているのか、気まぐれな善意なのかは分からないが、せっかくだし甘えさせてもらうとしよう。
「失礼しまーす...」
さっきは触れ損ねた頬にそろりと手を伸ばすと、伝わってきた感触は想像よりも柔らかくて冷たい。
悪戯を企てた時とは違うドキドキが、ゆっくりと全身を包んだ。